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「欧米人が圧倒的に強い」カヌー界で戦い続けるパイオニア・羽根田卓也が語った“誇り”《五輪4大会連続出場》

posted2021/08/30 06:00

 
「欧米人が圧倒的に強い」カヌー界で戦い続けるパイオニア・羽根田卓也が語った“誇り”《五輪4大会連続出場》<Number Web> photograph by Ryosuke Menju/JMPA

2大会連続のメダルは逃したが、夢舞台でカヌーの魅力を伝えた羽根田。「挑戦できたことは誇り」と胸を張った

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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Ryosuke Menju/JMPA

 メダルラッシュに沸く東京五輪で、表彰台にこそ届かなかったが、珠玉のパフォーマンスを見せた。カヌー男子カナディアンシングルで“ハネタク”こと羽根田卓也は10位。アジア人初の銅メダルに輝いたリオデジャネイロ五輪に続く2大会連続メダルの夢はかなわなかったが、最後まで諦めない執念の漕ぎは、見る者の心を確かに震わせた。

 準決勝をカットラインぎりぎりの10位で通過し、決勝は攻めるしかなかった。序盤の4番ゲートで腕が当たる痛恨のミスがあったが、さらに攻めた。その後、2つ目のミス。しかし、「自分のすべてを出し切ることができた」と潔かった。激流。難しい旗門設定。普段見せている柔らかみのある表情とは一転し、鬼の形相でカヌーの魅力を伝えた。

 高校卒業後の'06年にスロバキアに渡り、8年目を迎えていた'13年9月、東京五輪の開催が決まった。

「そこから決勝のこの日に懸けて人生を過ごしてきた。毎日毎日、きのうの自分より成長できるように鍛錬してきたから、悔いはない」

 北京大会で初めて五輪の舞台を踏んでからは、ロンドン、リオ、東京と3大会連続で決勝に進んだ。「欧米人が圧倒的に強い競技。日本人であり、アジアのカヌー選手としてここまで戦っていることを誇りにしたいと思う」と胸を張る。

「日本のレベルは上がっていくと思う」

 コロナ禍に全人類が飲み込まれ、東京五輪の1年延期が決まった昨春。苦境の中でも浴槽に水を張ってパドルを漕ぐなど、工夫をこらした練習動画を投稿し、アスリートの強さを発信し続けた。

「リオでメダルを獲った後、これだけ多くの人がカヌーに注目してくださった。東京五輪がなかったらかなわなかったこと。それも含めて東京五輪と皆さんに感謝したい」

 長いまつげを濡らしながら、戦いの終わりを噛みしめたが、目の前には東京五輪をきっかけに誕生した「カヌー・スラロームセンター」という国内初の本格的なカヌー施設がある。海外選手もうらやむ大都会の競技場だ。

「このコースを存分に活用し、日本のレベルは上がっていくと思う。他のアクティビティにも活用できる施設なので、どんどん活用してカヌー界の大きな転換期になればいい」

 カヌー界のパイオニアらしく、次のフェーズを見つめた。

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