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「ビキニパンツを着用しなければならない」規定は誰のため? アスリートを“性の対象”として扱うスポーツ界の問題はどこへいくか 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2021/08/07 11:03

「ビキニパンツを着用しなければならない」規定は誰のため? アスリートを“性の対象”として扱うスポーツ界の問題はどこへいくか<Number Web> photograph by Getty Images

東京五輪では体操女子団体に出場したドイツのユニフォームが話題になった。スポーツ界で女子アスリートをめぐる問題は解決に向かっているのだろうか

「すべての女性が、何を着るのかを自分で決めるべき」

 ドイツ代表の1人、エリザベト・ザイツはこう語っている。

「何を快適と感じるかの問題です。すべての女性が、何を着るのかを自分で決めるべきだということを表したいと思っていました」

 その言葉が思い起こさせる出来事もあった。オリンピック開幕に先立つ7月中旬にビーチハンドボールの欧州選手権が開催された。出場していたノルウェー女子代表が太ももまで覆う短いパンツで出場すると、欧州ハンドボール連盟が規定に反しているとして、罰金、失格の警告をし、最終的に罰金が科せられた。

 ビーチハンドボールの場合はユニフォームの規定に違反していることが理由となり、処罰の対象となった。

 何が違反とされたか。規定では、ビキニパンツを着用しなければならず、側面の生地の幅は最大10cmとする、とされていた。しかもこれは女子のみに対するもので、男子については、膝頭上10cm以上で、たるみすぎていなければ長くてもかまわない、とされている。

 そのとき、ザイツの言葉の意味があらためて印象を深くする。ビーチハンドボールの場合そもそも選択の余地がなく、しかも同じ競技なのに男女で規定が異なる。連盟として、明らかに女子選手に露出させることを目的としている。そこにはアスリートへの男女で異なる視線がある。

かつてのバレーボールのユニフォームの変更も

 それはビーチハンドボールにとどまる話ではなく、かつてのバレーボールのユニフォームの変更もそうだったのではないか。サイドアウト制からラリーポイント制に変更する際、国際バレーボール連盟副会長が「ビジネスのためだ」とストレートに語った映像を記憶しているが、ユニフォームで露出を高める方向に変わったこともある。それもまた、ビジネスを目的としていたというのは考えすぎだろうか。

【次ページ】 ユニフォームを選ぶ権利が選手にはある

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