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“変化球マニア”ダルビッシュ35歳目前の進化は「3種のカットボール」 解析で見える「より三振を取れるスタイル」とは 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byAP/AFLO

posted2021/07/18 17:03

“変化球マニア”ダルビッシュ35歳目前の進化は「3種のカットボール」 解析で見える「より三振を取れるスタイル」とは<Number Web> photograph by AP/AFLO

数多くの変化球を変幻自在に操り、強打者をねじ伏せるダルビッシュ。2021年はカットボールに注目だ

(1)ストレートに球速が近く変化が小さなカットボール

(2)一般的な投手のスライダーに近い変化が大きなカットボール

(3)球速が遅く縦に大きく変化するカットボール

 最も多いのは(2)のカットボールで、今シーズンは約9割となっている。(1)はファウルでカウントをかせぎ、(2)と(3)で空振りを奪っている。メジャーに移籍した当初もカットボールを使っていたが、(1)に近いボールがほとんどだった。

 ここ数年、奪三振が増え、被打率は低くなっているのは、数種類あるカットボールを軸にしていることも要因。改良しているからこそ、メジャーでは主流ではないカットボールを武器に、唯一無二の存在でいられるのだ。

有原のカットボールと比べてみると……

 表2はカットボールを持ち球とするレンジャーズ・有原航平との比較。ダルビッシュの図にある(1)~(3)は、森本氏が分類した3種類にあたる。ダルビッシュの(1)のカットボールの変化は、有原のカットボールと似ている。そして、(2)のカットボールは、有原のスライダーの変化とほぼ重なる。ダルビッシュのスライダーは、右打者の外角へ非常に大きく曲がっているのも分かる。

 これだけ変化に幅があるカットボールを操れば、ダルビッシュが簡単には打たれないのは理解できる。さらに、森本氏が攻略を難しくしている要因に挙げるのが、ストレートの向上だ。

「2019年はストレートがカットボールに近い変化になってしまう、いわゆる真っスラ系のボールがみられた。ここ2年は回転軸がバックスピンに近くなり、伸びが大きくなって、カットボールとの差が大きくなっている。ストレートが変わったことで、カットボールが活きているのは間違いない。昔とは違う凄さがあり、今の方がより三振を取れるスタイルになっている」

 年齢が30代中盤に差し掛かってもダルビッシュのストレートの伸びは増し、球速も上がっている。カットボールは種類が増え、三振を奪う決め球にまでグレードアップしている。常識を覆す"変化球投手"の完成形はどこにあるのか。進化は止まらない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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