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37歳で現役引退? ダルビッシュ有(34)に聞く“大記録への挑戦はどうなる”「すごい人たちが残した数字に並ぶとしたら…」
posted2021/07/06 06:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
「すごく最近は通算勝利数を気にしていて、ここで松坂さん、岩隈さんに追い付くのは分かっていた。2人とも自分が18歳、19歳の時とか若い時からすごく目標というか、勝たなきゃいけない巨大な壁という感じだった。道は違えど、同じ勝利の数を味わって、勝利の後の夜も同じ数だけ味わってきたという意味では、すごく感慨深いものがある」
6月3日のメッツ戦で日米通算170勝を達成した直後、パドレスのダルビッシュ有投手がそんなコメントを残した。
かつて遥か遠くに見えていた先輩たちへの思いだろうか。「同じ勝利の数を味わって、勝利の後の夜も同じ数だけ味わってきた」という言葉に、彼にしか分からない特別な感情が込められているような気がした。
「通算勝利数のランキングみたいなのがあって…」
少し意外だったのは、「通算勝利数を気にしていて」という部分だった。カブス時代、「自分は勝ち星があまりつかない投手。チームが勝てばそれでいい」と言っていたこともあり、パドレスがシンシナティに遠征した際、言葉の真意を尋ねると、「チームが勝てばいいっていうのは今も変わらないんです」と彼は言い、口元を少し綻ばせて、こう続けた。
「それは絶対に変わらないんですけど、元々、佐藤(義則 元北海道日本ハム投手コーチ)さんの勝ち星(通算165勝)には追いつきたいって、ずっと言っていて、追いついた時かな? ネットで通算勝利数のランキングみたいなのがあって見てみたら、自分の上にも下にもすごい人たちの名前があったんですよ。それで『なにこれ? もうちょっと頑張ったら、追いつけるんちゃうん?』って思って」
以下は「通算170勝」前後で見た日本人投手の日米通算勝利数である(Number Web以外でご覧になっている方は記事末尾の「関連記事」から ◆日本人投手の日米通算勝利数〈上位〉 をご確認ください)。
他にも、ダルビッシュがかつて「追いつきたい」と語っていた佐藤義則、西本聖(165勝)など錚々たる顔ぶれが並ぶ。
先発投手が“勝ち星をつけづらい”背景
今さら説明する必要もないことだろうが、洋の東西を問わず、過去20年ぐらいのスパンで先発投手の起用法は劇的に変化してきた。