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「人間的にすごく成長できている」ダルビッシュ有がシカゴで味わった地獄と天国…メジャー最速1500奪三振までの心の変遷
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木崎英夫Hideo Kizaki
photograph byAP/AFLO
posted2021/06/30 11:03
![「人間的にすごく成長できている」ダルビッシュ有がシカゴで味わった地獄と天国…メジャー最速1500奪三振までの心の変遷<Number Web> photograph by AP/AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/c/7/700/img_c7216b2cc648a9e4f621dcc74d21711f120139.jpg)
ランディ・ジョンソンの記録を抜き、歴代最速で1500奪三振を達成したダルビッシュ有
通算4875三振を記録し米野球殿堂入りを果たした左腕、ランディ・ジョンソンの206試合を超え、史上最速で1500奪三振に到達した21日のドジャース戦後、ダルビッシュは、自身の成長について、歯切れよく言った。
「こっちに来て最初の頃はスライダーと速いカーブでずっと三振を取っていましたけど、今はフォーシームも含め、全部の球種で三振を取れるようになりました。来た頃よりは、いいピッチャーになれたと思います」
自信を得た全ての球種にあって「唯一、取られて困るのはカッター」と言ったのは4月のこと。その球を、あえてど真ん中へ縦に落とす技を先のドジャース戦で見せている。最も危険なゾーンに入れても好打者が平然と見送る。読み勝ちなのか……。思い込みは斥けられた。
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「相手が打ってこないだろうからではなくて、真ん中でも打てないだろうと思って投げています。変に、(ゾーンの)際にいくよりも、真ん中にドンッていったほうが打てないことが多いということがあります。逆に、最初にそれを投げると最後の決め球でスライダー、カーブが使えるので。そういう意味もあります」
ダルビッシュらしく、実証的な根拠から易しい論を展開した。磨き続けてきた技術で、ゾーン内の一番甘い所をあえて狙う配球の新機軸を確立した。
「人間的にすごく成長できている」
日ハム時代のダルビッシュを担当した旧知の記者によると、当時はかなりの人見知りだったそうだ。でも、それはもう昔のこと。パドレスに来てからは、特に故障した選手と積極的に会話を交わし、彼らの思いを汲み取る努力をしている。
「エースだとは思っていませんが、このチームで、投手陣でもベテランなので、みんなの心のケアをちゃんとするようにしています。僕は怪我をしてすごく(心の)痛みを知りました。今年(8月で)35歳ですし、これまでよりもチーム全体をもっと見るようになりました。人間的にすごく成長できていると思います」
件の『道』の歌詞には、こういう一節がある。
大人になりなさいと言われて あきらめた日々は今は過去で
人として、そして投手として――ダルビッシュ有は、今を生きる。
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