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ヤクルト前身球団の“消えた野球場”…JR三鷹駅にあった国鉄スワローズの「幻の巨大スタジアム」、今は何がある?
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph byKYODO
posted2021/06/13 11:02
1950年に球団が創立された「国鉄スワローズ」。その巨大スタジアムは三鷹駅にあった
古い航空写真を見ると、三鷹駅から野球場への線路は駅の西側、件の太宰治の跨線橋の少し先から分かれていたようだ。三鷹駅北口から玉川上水を渡って線路際の道に出て5分弱。跨線橋の先に、何やら遊歩道のようなものが現れた。これが、かつての野球場への線路の跡なのだろう。
遊歩道は「堀合遊歩道」と名付けられている。堀合とはこの一帯の地名のことで、跨線橋の近くにある線路をくぐる地下道も堀合地下道という。さっそく堀合遊歩道を進んでいくと、木々が生い茂って散策路は右に左に蛇行しながら伸びている。が、よくよく落ち着いて眺めてみると、全体的には大きな弧を描くような道筋だ。幅もクルマでいえば1車線には余るし2車線には足りないあんばいで、見る人が見れば「これは廃線跡だな」とすぐに指摘してくれそうな道である。
とにかくこの道をしばらく歩く。ゆったりとしたカーブを描く道だから感覚としてはまっすぐ進んでいるようでも気がついた頃には北側へ方向転換。新武蔵境通りと並んで玉川上水を再び渡り、このあたりからは三鷹市から武蔵野市へと入る。武蔵野市側にも廃線跡の遊歩道は続いているが、こちらは堀合遊歩道ではなく「グリーンパーク遊歩道」という。住宅街の中のこの道を延々と歩いた先に、野球場があったのだ。野球場の名は「武蔵野グリーンパーク野球場」。遊歩道の名前に、しっかりといにしえの球場の歴史が刻まれている。
5万人以上の巨大スタジアムだった!
堀合遊歩道からグリーンパーク遊歩道へと歩くこと約20分。住宅地が途切れたところで武蔵野中央公園という広々とした公園が現れた。ここが野球場の跡地か……と思いたいところだがお目当てはもう少し先にある。
公園の中を抜けると巨大団地の中に入り、そこをさらに進んでいくと、団地の中の小さな広場がある。その傍らに、「武蔵野グリーンパーク野球場がここにあったよ」と教えてくれる説明書きが置かれている。