スポーツ名言セレクションBACK NUMBER
【50歳】前田智徳と鈴木誠也が似ている? 山本浩二や達川光男が語った「前田は天才じゃない」22歳当時の“仰天発言”も
posted2021/06/14 06:00
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Naoya Sanuki
<名言1>
前田さんの孤高というイメージと、僕はスタイル的に違う。今まで通りふざけさせてもらいます。
(鈴木誠也/NumberWeb 2019年3月24日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/838730
◇解説◇
広島に6年ぶりに戻ってきた「背番号1」は、重たい。鈴木誠也は2019年シーズンから背番号を「51」から「1」に変えた。
前任者の前田智徳は“孤高の天才”として寡黙に打撃を追求する姿がファンの心をとらえ、絶大な人気を誇ったレジェンドだ。後継者となった鈴木もまた、打撃を追い求める打撃人である。
普段の打撃練習から殺気立ったようにバットを振る。練習でミスショットしても悔しがり、打撃投手の間合いが合わなければ、1m前に出て構えることもある。1球にかける集中力がほかの選手とは違う。
バットを選ぶ所作も前田を彷彿とさせる。メーカーから定期的に10本のバットが届けられると、鈴木はまず芯の部分を右手でたたき、音を聞く。そして両手で握り、感覚を確かめる。
しばらくすると、バットを仕分けした鈴木は担当者に向かってこう口を開く。
「すみません、この2本をお願いします。あとは大丈夫です」
長さや重さに大きな差はない。ただ、どうしても微妙な違いは生じてしまうものだという。その微妙な違いから、鈴木の感覚に合うのはいつも10本中2本程度。その姿にアシックス社の担当・佐々木邦明氏は「誠也くんが新しいバットにする動きって、前田さんと全く一緒なんです。そして、あの緊張感。前田さんに似てきたなって思うときがあります」と前任者の姿と若き1番の姿を重ねた。
鈴木は「前田さんの孤高というイメージと、僕はスタイル的に違う。今まで通りふざけさせてもらいます」と謙遜するが、その重みを誰よりも理解しているのは鈴木本人だろう。