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大谷翔平“最速165km”より注目したいストレートの超進化 1つは回転数、もう1つはヒジ手術後の…【データ解析】
text by
間淳Jun Aida
photograph byAP/AFLO
posted2021/05/19 17:05
ベンチにいても絵になる大谷翔平。でも一番見たいのは投げて打って走って大活躍する姿だ
スポーツ科学に基づき野球のデータを解析する「ネクストベース」のトップアナリスト・森本崚太氏によると、ボールの伸びは「回転数」と「軸」で決まる。ただ、回転数の少ないストレートは打者が「伸び」を感じるホップ成分を高めにくく、150キロを超えても打者から空振りを奪いにくい要因の1つとなる。
藤川や上原のストレートのように
「火の玉」と形容された元阪神・藤川球児のストレートに代表されるように、バックスピンに近い回転軸のストレートは、回転数が多いほど打者はホップしていると感じる。
日米で活躍した上原浩治もストレートの回転数が多かった。レッドソックスでプレーした2016年の平均回転数は約2400回転。当時は41歳で球速の平均は141キロほどだったが、打者が振り遅れていた。
森本氏は「ストレートはホップ成分が強く、打者は伸びているように見える。回転数が多いストレートを高め、スプリットを低めと徹底した制球力が上原選手の特徴」と説く。投球の大半がストレートとスプリットの2種類だった上原にとって、スピンの利いたストレートは生命線だった。
シュート成分減少で得られるメリットって?
大谷のストレートが進化している2つ目のポイントがシュート成分の減少だ。2018年、大谷のストレートは平均16センチほどシュートし、右打者の内角へ変化していた。一方、今シーズンの平均は10.7センチ。さらに、7回1失点と好投した前回登板の11日(日本時間12日)アストロズ戦では、わずか6センチだった。
横変化の違いは大きな効果を生む。大谷の持ち球はスプリット、スライダー、カーブと、右打者の内寄りに変化する球種はない。シュート回転が大きければ、それだけストレートだということが打者に分かりやすくなる。
大谷が武器とするスプリットは横変化が少なく、真っすぐ縦に落ちるのが特徴。ストレートとスプリット、いずれもシュート回転が少ないため、打者は直前までどちらの球種か判断ができなくなる。
森本氏は「6センチの横変化は打者からしたら、真っスラに感じるくらい。横変化の少ないストレートは落ちるボールと組み合わせると相性がいい。スプリットと相乗効果があるストレートの球質になっている」と話す。
肘の手術の影響があったと推察するワケ
なぜ、ここまで劇的にストレートの横変化が減ったのか。
森本氏は「肘の手術の影響」と推察している。