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【追悼】「田村正和さんはすごく嬉しそうだった」イチロー出演回『古畑任三郎』秘話 三谷幸喜が語っていた“悔い”とは
posted2021/05/20 11:01
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
JIJI PRESS/Naoya Sanuki
俳優の田村正和さんが心不全のため東京都内の自宅で亡くなっていたことが分かった。77歳だった。代表作にして大ヒットドラマとなった『古畑任三郎』には、当時現役のメジャーリーガーだったイチローも出演していた。脚本家・三谷幸喜が“イチロー出演の裏側”を明かした記事を特別に公開する。
球界のスターが出演した『古畑任三郎』は高視聴率を記録した。数々の名ドラマや映画を手掛けてきた人気脚本家は、“俳優・イチロー”とどう向き合い、どこに凄さを感じたのか。そして今も残る“悔い”とは――。
【初出:Sports Graphic Number836号(2013年9月5日発売)/肩書などはすべて当時】
球界のスターが出演した『古畑任三郎』は高視聴率を記録した。数々の名ドラマや映画を手掛けてきた人気脚本家は、“俳優・イチロー”とどう向き合い、どこに凄さを感じたのか。そして今も残る“悔い”とは――。
【初出:Sports Graphic Number836号(2013年9月5日発売)/肩書などはすべて当時】
27パーセント(『古畑任三郎』イチロー出演回の視聴率)?
へーっ。そんなに取ってたんですね。僕は数字に影響を受けるタイプではないので、当時も「よかったですね」くらいの感じだったと思います。たとえば自分の中でわりとうまくできた『王様のレストラン』というドラマがあったんですけど、あのドラマがどのくらいの数字を取ったのか、僕は知らないし、よく覚えていないんです。だからすごくいいと思っているのに数字が低いとか、イマイチだと思っているのに数字が高いというストレスは、どっちもない。そもそも数字自体に重きを置いていないのでね。
ダメ元でオファーしたら「まさかの快諾」
『古畑任三郎』のファイナルをやるにあたって、犯人役に誰をキャスティングしようかという時、イチローさんがこのドラマのファンでいて下さるらしい、という話が出たんです。だったらと、ダメ元でオファーしたら、快諾して下さった。
ただ、イチローさんが『古畑』を好きでいて下さるのはすごく嬉しいんですけど、やっばり俳優さんではないので、じつはとっても不安でした。どのくらいお芝居ができるのかもまったくわからなかったので、失礼ながら、それを調べたいとお願いしたんです。もしお芝居ができないのなら、できないなりの本を書かなければなりません。言いやすいセリフとか、あまリセリフを言わせないとか、それを僕の中で考えなければならない。だから、イチローさんの演技力を知りたかったんです。