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カミングアウトから2年、“同性とのパートナー婚”を決断… 女子サッカー下山田志帆が気づいた「自立への思い込み」
posted2021/04/29 17:03
text by
中﨑史菜Nakazaki Fumina
photograph by
Shigeki Yamamoto
――「初めてLGBTQ当事者であることをカミングアウトした現役選手」として、かなり注目されて、講演会もしてるよね?
下山田:本当に自分が恵まれてるなあと思うのは、セクシャリティをカミングアウトしたタイミングで出会えた人がすでに熱量を持って活動している人たちだったこと。きっかけはプライドハウスの松中ゴンさん。ゴンさん経由で講演会やイベントなどにお声がけいただくようになりました。
――一度、講演会の資料を見せてもらったけれど、ものすごくこだわって細部まで作り込んでたよね。
下山田:講演会は言葉が与える影響力がすごく大きいので、やるたびにかなり身を削っています。最近では、菅公学生服さんのご協力で学校での講演会も増えてきたので、やりがいがありますね。子供たちにとっては講演会で聞くことが全てだから、伝え方を工夫してます。
クラブがもともと個人のSNSを禁止していた理由
――同時に、SNSでの発信も積極的に行っているよね? それについて、スフィーダ世田谷は理解を示してくれているの?
下山田:実は、もともとスフィーダは選手個人のSNSを禁止してたんですよ。
――そうなんだ! それはなぜ?
下山田:女子のクラブって、サッカーに限らず運営側が選手たちの親のような立ち位置になりがちなんですよね。最近では、陸上競技の選手が性的な意図で撮影される問題が話題になっていますが、そういった問題だけでなく、メディアが選手をアイドル的に扱ってしまう問題などなど、リスクが多いんですよ。だから選手がSNSをすることで新しい問題が生まれてしまうんじゃないかとクラブ側も危惧しているんです。
――JOCが声明を発表するくらい問題になっているよね。でも、今スフィーダ世田谷は下山田の活動を応援してくれているよね。SNSでの発信自体は、下山田にとってメリットが多かった?