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カミングアウトから2年、“同性とのパートナー婚”を決断… 女子サッカー下山田志帆が気づいた「自立への思い込み」
text by
中﨑史菜Nakazaki Fumina
photograph byShigeki Yamamoto
posted2021/04/29 17:03
下山田志帆が語った言葉から、どんな未来が生まれるだろうか
下山田:メリットしかないですね。チームもリスクだと思っていたものがリスクじゃないと気付き始めたと思います。
自分たちがサッカーをやっているのは24時間のうちの2時間程度。他の22時間にどんなことを考え、どう行動しているかはSNSなどを通じて発信することでしか伝わらない。試合の応援に来ていただくだけでは伝わらないことも多いんです。
逆に、自分のSNSでの投稿がスフィーダ世田谷を知らない人の目に留まって、実際に応援に来てくれたり、応援メッセージを送ってくれたり。そういう好循環ができてるなと思います。
実は今、結婚について考えてます
――この2年間で、自身のプライベートでも変化はあった?
下山田:実は今、結婚について考えてます。
――おお!
下山田:ただ、そもそもの話なんだけど、12月に女子サッカーの移籍資料が出ると「この選手引退するんだ!? 結婚すんのかな?」って言葉を耳にすることが多いのね。なんで「結婚=引退」なのかなってずっと疑問だったんですよ。
今のところ日本では同性婚はできないし、自分はもともと結婚するつもりもなかったから結婚と引退が直接結びつくことにすごく違和感を感じていて。
――確かに、男子サッカー界では耳にしないフレーズだよね。女子スポーツ界のキャリア問題って、そういう染み付いた「当たり前」も原因の一つになってるのかも。
結婚と言えば、下山田が書いたnote「幸せは、共有するくらいがちょうどいい。」(https://note.com/shimoshiho/n/n341920838fd0)がものすごく印象的。読みながらポロポロ泣いてしまった。
下山田:そうだったんですか(笑)。パートナーが友達に同性と付き合っていると話したら「はやく結婚できる恋愛が見つかったらいいね」って言われた時の話ですよね。
法的に結婚できないけど、あるサービスを知った
――そうそう。その記事で彼女さんは「私は付き合ってるだけで幸せなのに、そのうち別れるだろうって、可哀想だって思われてて。ショックだった」って話してたよね。その記事もあったので、なんとなく結婚せずに今の関係を続けていくのかな、と思ってた。