Number ExBACK NUMBER
カミングアウトから2年、“同性とのパートナー婚”を決断… 女子サッカー下山田志帆が気づいた「自立への思い込み」
text by
中﨑史菜Nakazaki Fumina
photograph byShigeki Yamamoto
posted2021/04/29 17:03
下山田志帆が語った言葉から、どんな未来が生まれるだろうか
下山田:今は法的に結婚できないから、自分たちも結婚という話を避けてきたように思います。でも最近、Famiee(ファミー https://www.famiee.com/)っていうサービスのことを知ったんです。
株式会社ホットリンクの内山幸樹さんがLGBTQ当事者の話を聞いて「そんなに困っている人たちがいるんだ!」と感化されて開発されたサービス。「住んでいる場所に関わらず取得・利用できる家族関係証明書を民間で発行」するものです。
――同性婚はできなくても、パートナーシップ宣誓はすることができるよね? それとは違うの?
下山田:今は世田谷区に住んでいるから同性パートナーシップ宣誓できるけど、それって引っ越ししたら無効になっちゃうんですよ。誰もが利用できるものではないんです。
Famieeが発行する証明書を持っていれば、住んでいる場所にかかわらず導入している民間企業からのサービスを受けられるようになります。
このサービスのリリースをお手伝いしていて、証明書が発行されたのを見たとき、「今まで結婚できないと思ってたけれど、こんなふうに形になるんだ!」って感動して、初めて結婚が自分ごとになったんですよね。
「自立していないと結婚してはいけない」のか
――証明書が発行されると社会からも認められたという感覚が強くなるよね。私はもともと結婚に対して特別な意味を見出してなかったんだけど、実際に婚姻届を出した日は特別な日になったよ。
下山田:でも、「サービスが始まったら、下山田さんも利用してね!」って言われた時、咄嗟に「早いですよ~」って言っちゃったんですよね。
家に帰って、冷静になんで「早い」って思ってたんだろうって考えて、パートナーとも話し合いました。結婚している友達も増えてきたし、家庭を築いている人も多いのに……。
そこで気づいたのは、同性カップルだから「一人ひとりが自立していないと結婚してはいけない」って思い込んでたんじゃないかということ。経済的にも、社会的にも自立していて、立派な人間じゃないと結婚しちゃいけないって思い込んでた。5年も付き合ってるんだから別に「早い」ことなんてないはずなのに。
結婚している人たちにいろいろ聞いてみたら、「結婚してから2人で頑張ろうね」っていう感覚の方が強いと言われて、そうか、そうだよなと。
――そう、そうなんだよ!(笑)。