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審判も驚く「和田毅のボールが蘇っている」…盟友・杉内俊哉とオフに話していた復活の要因とは?【40代での複数勝利は球団初】 

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田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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posted2021/04/22 17:02

審判も驚く「和田毅のボールが蘇っている」…盟友・杉内俊哉とオフに話していた復活の要因とは?【40代での複数勝利は球団初】<Number Web> photograph by KYODO

今季初勝利を挙げた和田(右)

「三菱重工長崎で僕は敢えて徹底的に筋力トレーニングに励んだ。当時はインナーマッスルと走り込みが中心と言われていた時代。しなりとか柔らかさとかね。実際、高校時代もそれを重要視していた。でも、肩と肘に痛みが出て投げられなくなった時、外側の筋力で肩と肘の消耗をカバーできないか徹底的に研究した。

 体重はどれくらいかなあ、10キロは増えたよね。あの時期にアウターマッスルを鍛えてきたからプロでも勝つことが出来た。千賀君をはじめホークスの若手投手陣が行っているウエイトトレーニングには僕もかなり興味がある。軒並み150キロオーバーを投げる投手が続出しているチーム。相当な重さのウエイトを上げていると聞いている。あのボールの強さは間違いなくトレーニングによるもの。指導者として改めてウエイトトレーニングに関する考え方を見つめ直そうと思った」

 事実、杉内が投手コーチを務める巨人では、今季からウエイトトレーニングに特化した専門トレーナーをチームに招聘し、改革を行っている。杉内を筆頭に、速く強いボールを投げることが出来る投手の育成に力を注いでいるのだ。

 選手それぞれに合ったウエイトトレーニングの方法、時期とタイミングに合った負荷のかけ方、走り込みと重いウエイトを上げるバランス、しなやかさを残しながらパワーをつけるバランス……様々なハードルはあるものの、40代に入って進化を遂げる和田や、ゆうに150キロを超す強いボールを投げる若手が毎年何人も出てくるホークス投手陣を見ていると、信じられないくらいの重さのついたバーベルをアームカールで上げる選手たちがトレンドになりつつあるように感じる。

 もちろん、そこには、和田のような豊かな経験と、緻密に計算されたトレーニング論があって成し得る結果ではある。試行錯誤しながら辿り着いた答えでもあるだろう。

 審判陣がこぞって「ボールが蘇っている」と舌を巻くほどの和田の好調ぶり。肘と肩に大怪我を負った投手が、40代にして輝きを放つ――和田毅がそんなモデルケースをつくっている気がする。新たな教科書を生み出すサウスポーにロマンを描く2021年である。

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