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39歳・和田毅の球速146キロの衝撃!
「遅い球を速く見せる」達人の進化。
posted2020/08/22 11:30
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
普段から柳田悠岐という怪物級のバッターが放つ打球を見ているから「規格外」には多少慣れているつもりだったが、7月29日の西武戦で見た和田毅のストレートには驚きを隠すことが出来なかった。
39歳にして自己最速を塗り替えてしまうのではないか。
ちょっと常識では考えづらいが、決して戯言ではないと言い切れるほど凄まじかった。
「初回から感じが良かった。試合前のブルペンでも『今日は悪くないな』と思っていたけど、マウンドに上がってからの方がもっと良かったと感じました」
初回から力の配分など気にせず、アクセル全開で試合に入っていった。西武という対戦カードを強く意識していたという。今年6月27日に3回5失点と打ち込まれていたほかに、昨季も2試合0勝2敗、防御率13.50と完敗を喫していたからだ。
「今回もダメなら、もう二度と西武戦には投げさせてもらえないかもしれないと思っていました」
和田ってこんなに速かったっけ……。
この日の西武は変則的な打順だった。1アウト後に迎えた2番打者は森友哉である。初球はスライダーでストライクを先行させると、2球目からは15歳下の若き主砲に直球でどんどん攻め込んでいった。
143キロでファウル、3球目はボールだが144キロを計測した。4球目、球速が表示されなかったが3球続けた直球でも森のバットは空を切った。この日最初の空振り三振だ。
これがはじまりの合図だった。
続く3番の山川穂高に対して、さらにアクセルを踏み込む。3球目、この日最速の146キロでファウルにして追い込むと、最後は145キロ直球でまたも空振り三振を奪ってみせた。
颯爽と、さも当然とばかりに駆け足でダグアウトに引き上げる和田だったが、いや146キロである。
和田ってこんなに速かったっけ……。