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「イチローや松井が例外だったんですよ」MLBでフロントを経験、斎藤隆が明かす“米国で獲得リストに挙がった日本人野手の名前” 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2021/03/27 17:02

「イチローや松井が例外だったんですよ」MLBでフロントを経験、斎藤隆が明かす“米国で獲得リストに挙がった日本人野手の名前”<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

引退後はパドレスのフロントとして、選手の育成やチーム編成に携わった斎藤隆さん。現在はNHK BSのMLB中継などで解説を務める

斎藤 こればっかりは、やってみないことには、としか言いようがないですね。合う、合わない……。うーん……、それは難しいですね。結果が出たら、何とでも言えるんでしょうけど。

――今オフの日本人選手の動きでいうと、ブルージェイズが1年目の山口(俊)を自由契約にしたのにも驚かされました。結局、山口はジャイアンツとマイナー契約を結びましたが、ブルージェイズと山口は2年契約を結んでいたので、残りの2021年の年俸、約3億3000万はブルージェイズが今後も支払い続けるわけですよね。

斎藤 日本では考えられないでしょうけど、アメリカでは普通ですよ。毎シーズン、メジャー契約できるのは40人しかいないので。メジャー契約とは、日本のプロ野球で言うところの支配下登録です。日本の場合は一軍と二軍が同じ組織なので70人の枠がある。つまり、メジャーの方が、その1枠がずっと貴重なんです。なので、山口の1年分の年俸を払ってでも、その貴重な1枠を買い戻したいということなのでしょう。ミーティングが開かれるたびに、フロントの人たちは、だいたいその40人枠のことばかりを話しています。誰を切るべきか、誰を置いておくべきか、と。アメリカも日本もプレーヤーは財産だと考えている点では共通していますが、アメリカはそこの作業はとてもドライ。僕がアメリカで不思議に感じたのは、ドラフトの指名選手なんですよね。普通、自分のチームの戦力を見て、足りないところを埋めるものじゃないですか。でもアメリカでは、評価の高い選手を、ポジションが被ってもいいから順に獲っていく傾向が強い。だから、どうしても山口のように力があっても、チームバランスを考えたときにあぶれてしまう選手が出てくる。だから、誤解して欲しくないのですが、山口は決してメジャーからダメだという烙印を押されたわけではない。たまたまブルージェイズからは必要ではないと判断されただけ。ただ、リリースのタイミング(2月13日)は、ひどかったですね。あれは失礼です。エージェントは契約選手があんなことされたら強く抗議すべきですよ。

――ありきたりな質問で恐縮ですが、今年も何かと議論が白熱しそうな大谷翔平(エンゼルス)の二刀流に関してはどう思っていらっしゃるのですか。

斎藤 正解、不正解ということではなく、あくまで個人的な見解ですけど、僕は彼はピッチャーだと思っています。僕がピッチャーだったから、そう思うのかもしれませんけど、160キロ投げられる人って、世界でも数えるほどしかいないんですよ。ただ、向こうでの評価は、圧倒的に野手としての方が高いみたいですね。一度、彼にトレーニングはどうしているか聞いたら、ピッチャー用、野手用みたいな分け方はしていないと言っていたんです。それで、このパフォーマンスをいつまで維持できるんだろうとは思いました。僕の感覚だと、ピッチャーってインナーマッスルなどの繊細な筋肉を鍛えていかないと、どんどん衰えていってしまうんですよ。ただ、彼が二刀流のままプロ野球人生を終えた時、まったく新しいトレーニング理論を語っている可能性もある。それはそれで興味がありますね。

(【続きを読む】「ボールをストライクにしてくれ…ではない」元チームメイト斎藤隆が解説する田中将大“フレーミング発言”の真意 へ)

(写真=山元茂樹)

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