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“予定通り”天皇杯を制覇…新生・川崎ブレイブサンダースの土台が固まった「甘い蜜の味を知れたからこそ…」
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byJBA
posted2021/03/19 17:01
2014年に前身の東芝として制して以来、7大会ぶり4度目の優勝を果たした川崎ブレイブサンダース
決勝における川崎の得点内訳を見てみる。増田の13得点をチームハイに、ファジーカスとヒースの11得点、パブロ・アギラールと篠山の9得点、辻と大塚の8得点と続く。
チームハイを獲得したのが増田というのも驚きだが、何より、大舞台で必ず30点近い点数を稼いできたファジーカスが10点台(加えてフィールドゴールのアテンプトが8)というのもにわかに信じがたい。しかし、ファジーカスはこともなげに言うのだ。
「もう川崎は僕1人のチームではないと思っている。僕がいるのは大きな強みだと思うけれど、うちのチームには僕以外にも周りに勝利に貢献できる選手がたくさんいるということを証明できたような試合だった」
新生・川崎ブレイブサンダースの本当の始まり
実業団からプロへ、東芝からDeNAへ、北卓也から佐藤賢次へ、平成から令和へ。
篠山や辻が若手として躍動した、前回の天皇杯優勝から7年。チームは目まぐるしい変化の波と共に進んできたが、この優勝によってようやく“新生・川崎ブレイブサンダース”の土台が固まり、本当の意味での始動を迎えられるように思う。
篠山は言う。
「結果が出ることによって、自分たちがやってきたことが間違いじゃないと分かるのは非常に大きいと思います。強いからこそ勝つというのもあるけど、勝って強くなるっていうのもある。勝ったからこそ、優勝という甘い蜜の味を知れたからこそ、日常から『優勝』っていうものをイメージしやすくなりますし、自信というものを得られたのも大きいと思います」
チームが見据える次のゴールは、チャンピオンシップで6回勝つことに他ならない。積み上がった土台にどのような材料を加え、バスケットボールファンを楽しませてくれるだろうか。願わくば2つ目の冠は、今回ケガでコートに立てなかった選手も含めた全員が本来の役割を全うして、手に入れてほしいものだ。