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Jリーグ「ゼロ円移籍」問題 なぜ“外資系”代理人は「レンタル移籍」を推すのか?【齊藤未月(湘南→ロシア)移籍のウラ側】
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木崎伸也Shinya Kizaki
photograph bySHONAN BELLMARE
posted2021/03/17 17:02
![Jリーグ「ゼロ円移籍」問題 なぜ“外資系”代理人は「レンタル移籍」を推すのか?【齊藤未月(湘南→ロシア)移籍のウラ側】<Number Web> photograph by SHONAN BELLMARE](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/7/700/img_b7f9410356ba1b6525fd4ac5e8d6c0c1272242.jpg)
今年1月に湘南ベルマーレからルビン・カザン(ロシア)へレンタル移籍した齊藤未月 ©Getty Images
外資として日本進出を成功させるために、とにかくイメージを大切にしており、「Jクラブとwin-winの関係を構築する」のもその戦略の一環と言えるだろう。
ただし、ヨーロッパのクラブにとって日本人選手の実力はまだ未知数で、さらにコロナ禍で経営が苦しくなっている。相手の懐事情を考えずにいきなり移籍金を要求したら、交渉の入口にも立てないかもしれない。
そこで『Base』が推奨しているのが「買取オプション付レンタル移籍」だ。
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「たとえば約1年間レンタルし、力を示せたら一定の移籍金で買い取ってもらう。このやり方ならゼロ円移籍を回避できる。買い取る側も選手が通用するかを試せる。今後のヨーロッパ移籍は、この形が主流になっていくと思います」
長友は2億円、堂安は2億2000万円を残した
昨年8月に東京ヴェルディからジル・ビセンテ(ポルトガル)へ移籍した藤本寛也も、今年1月に湘南ベルマーレからルビン・カザン(ロシア)へ移籍した齊藤未月も、この「買取オプション付レンタル」だった。彼らが力を示せれば、レンタル終了後に買取オプションが実行され、ヴェルディや湘南に移籍金がもたらされる。
ヨーロッパでもこの方式が増えており、たとえばこの冬、リバプールはセンターバックの度重なる負傷離脱を受け、シャルケからトルコ代表のオザン・カバクを「買取オプション付レンタル」で獲得した。リバプールですらもコロナ禍で節約を迫られており、すぐに移籍金を払うリスクは冒したくないのだ。
これは『Base』が手がけた案件ではないが、過去には長友佑都がFC東京からチェゼーナへ、堂安律がガンバ大阪からフローニンゲンへ移籍した際に、この方式が採用された。移籍情報サイト『Transfermarkt』によれば、買取オプション行使時に前者は160万ユーロ(約2億円)、後者は170万ユーロ(約2億2000万円)の移籍金がもたらされた。今後Jリーグにとっても「買取オプション付レンタル」がベストプラクティスになっていくだろう。
齊藤未月(湘南→ロシア)「レンタル移籍」のウラ側
では実際に、どうやって「買取オプション付レンタル移籍」に興味を持つクラブを探すのか。
『Base』にとっての武器は、国際ネットワークを生かした分業体制だ。