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「そんなお金があるなら、復興に使って欲しい」…あれから1年半、釜石“復興”スタジアム(48億円)の今は?

posted2021/03/11 17:03

 
「そんなお金があるなら、復興に使って欲しい」…あれから1年半、釜石“復興”スタジアム(48億円)の今は?<Number Web> photograph by Masashi Soiri

釜石の“復興”スタジアムへ。三陸鉄道に乗って鵜住居駅を目指す

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鼠入昌史

鼠入昌史Masashi Soiri

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Masashi Soiri

 1年半ほど前の2019年秋。まだ新型コロナウイルスやPCR検査のことなど何も知らなかった頃、世間はラグビーのW杯の話題で持ちきりだった。日本の躍進はもちろんのこと、全国各地で行われた他国同士の試合にも多くの観客が集まり、それはそれは盛り上がった。もはや、遠い昔のできごとのように感じられるが、ほんの1年半ほど前のことなのだ。

 そのラグビーW杯で会場のひとつになった町に、釜石があった。釜石といえば、“北の鉄人”新日鉄釜石ラグビー部。1978~1984年度にかけて7年連続日本一という偉業を成し遂げた伝説の強豪で、釜石=ラグビーというイメージを全国民に植え付けた存在だ。その釜石でラグビーW杯の舞台になったのは市内の少し外れ、海の近くのスタジアム「釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム」である。

 鵜住居復興スタジアムは、三陸鉄道リアス線鵜住居駅の近くにある。ちょうど2019年3月には旧JR山田線釜石~宮古間が東日本大震災で被災して以来の復旧を果たし、同時に三陸鉄道に移管。盛~釜石~宮古~久慈間、実に163.0kmという長大なローカル線が誕生したばかりであった。スタジアムがある鵜住居駅は、その復旧したばかりの旧山田線区間の駅のひとつだ。あのラグビーW杯の喧騒から1年半。鵜住居復興スタジアムはどんなところにあるのか。そして鵜住居駅はどんなところなのか。三陸は釜石を訪れた。

鵜住居駅、(スタジアム以外に)何がある?

 鵜住居駅は釜石駅から三陸鉄道に乗って2駅で着く。間に両石という駅を挟んで、時間にしてわずか12分だ。ならばほとんど釜石と同じじゃないかと思うかもしれないが、このあたりの海岸線は入り組んだリアス式。海の際まで山がせり出し、わずかな平地に市街地が広がる町が断続的に続くような地形をしている。おかげで、2つ隣の駅とはいっても駅間にはきまってトンネルがあって、まったく別の町に出たような感覚を抱くのだ。

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