バスケットボールPRESSBACK NUMBER
レブロン「理由も見いだせない」…オールスター開催に否定的でも「誰一人出場を辞退しなかった」のはなぜか?
posted2021/03/10 17:03
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
テレビ画面を見ている限り、ジョージア州アトランタのステイトファーム・アリーナのコートでは例年通り華やかなNBAオールスターゲームが開催されているように思えたことだろう。
レブロン・ジェームズ、カワイ・レナードといった重鎮たちがボスキャラとして君臨し、現代のNo.1プレイヤー候補となったヤニス・アデトクンボは16本のFGをすべて成功させるという大爆発でMVP獲得。ステフィン・カリー、デイミアン・リラードもそれぞれ8本の3ポイントシュートを決め、特にカリーの華やかさは際立った。さらにルカ・ドンチッチ、ザイオン・ウィリアムソンらの新世代スター候補たちも存在感を誇示し、まさに百花繚乱。2021年の“夢の球宴”を視聴したファンは、豪華キャストのエンターテイメントに満足させられたのではないか。
しかし、実際にアリーナの中に入ると、依然として新型コロナウイルスによる脅威が続く中で開催された今季のオールスターは“いつも通り”からは程遠かった。
「ファンのため」のお祭りなのに、無観客開催
例年は金曜日の会見、土曜日の各種イベント(ダンクコンテンスト、3Pコンテストなど)、日曜日の本戦というオールスター・ウィークエンドの中で徐々に盛り上がっていくが、今年は日曜日の1日のみにすべてが凝縮。スター選手たちやセレブリティが参加する地域イベントも皆無だった。こんな状況ではオールスターゲームでも客入れができるはずもなく、7日に行われた本戦は無観客ゲームとして開催されたのだった。
「ゲーム自体はこれまでと同じだった。例年と違うのは、コートサイド以外は人がいないこと。ファンがいた方がより騒がしいし、エナジーもある。そこに座っているべき人たちがいなくて、コート周辺のエナジーのなさが最大の違いだった」
カリーがそう述べていた通り、シーズン中同様に人工のノイズを流してはいたものの、アリーナ内の活気のなさは否定できなかった。筆者は今年も含めて過去12年連続、合計13度のNBAオールスターを現場取材してきたが、ファンのいないオールスターを見るのはもちろん初めて。もともと「ファンのため」という名目のお祭りであることを考えれば、ファンなしで行われた今年のイベントの開催意義に疑問を呈した選手、関係者が多かったのも理解できるところではあった。
30戦のゲームが延期されてきたのに……
「興味ないし、それに割くエネルギーもない。開催する理由も見いだせない」
2月上旬、今季もオールスターを開催するというリーグの決断をレブロンがばっさりと切り捨てたことは記憶に新しい。