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五輪の父でさえ「女性参加は不快で間違っている」…女性はどうやって“オリンピックの性差別”と戦ってきたのか?
text by
飯塚真紀子Makiko Iizuka
photograph byGetty Images
posted2021/03/02 11:02
1928年に女性参加が認められた「女子100メートル」
「IOC委員の33%、参加者の45%」になるまで88年
長い性差別の歴史を経て、初めて、2人の女性がIOCの委員に選出されたのは、第1回アテネオリンピックから85年を経た1981年のことだった。
1991年には、IOCは、競技種目に新たに加えるスポーツには女性も参加可能にするという歴史的な決定を行なった。その後、バドミントンや柔道、サッカー、ソフトボール、カーリング、アイスホッケー、重量挙げ、ボブスレー、レスリング、ゴルフ、ラグビー、ボクシングなどへの女性の参加も許可されていく。
2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでは、参加した女性アスリートの数が1万1444人中5176名と参加者の45%を占める多さとなった。
2019年には、IOCの委員の33%が女性となった。
男性の参加しか認められなかったオリンピック競技で女性の参加が認められ、女性が委員に選出されてIOCで力を得るまで、長い長い年月を要したのである。その歴史を踏まえれば、IOCが森氏の“女性蔑視発言”を「絶対的に不適切」と断罪したのは至極当然のことだったと言える。
オリンピックに女子陸上競技が加えられてから93年。
女性のオリンピック参加の道筋を切り開いたミリアならこう言うのではないだろうか。
「オリンピックは女性が参加することにこそ意義がある」