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トップ下で“主人公”の鎌田大地、中盤で鉄板な長谷部誠…王者バイエルン撃破! フランクフルトに春が来た
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2021/03/01 11:04
王者バイエルンを撃破するなど好調のフランクフルト
マドリーから復帰のヨビッチが初の先発
アイントラハトの先発メンバーは知人のドイツ人サポーターの予想通りでした。長谷部と共に中盤でコンビを組んだのはローデで、最前線にはヨビッチがレアル・マドリーから期限付き移籍で加入してから初めて先発しました。
不安が募ったのは右サイドで、こちらも大方の予想通りトゥーレが名を連ねましたが、キングスレー・コマンやアルフォンソ・デイビスのダブルアタックに対抗できるかどうかが気になりました。
ところが、そんな懸念は早々に払拭されました。この日のホームチームは戦前の予測に反し、あのバイエルンを圧倒的に制してゲームをコントロールしたのです。
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個人的に素晴らしいパフォーマンスを見せたと感じたのは、3バックの右ストッパーを務めたDFトゥタです。レギュラーだったダビド・アブラアムが今年1月に現役を引退したことで出場機会を得ている彼は、リベロのマルティン・ヒンターエッガー、左ストッパーのエバン・エンディッカと強固なディフェンスライン形成の一翼を担いました。
トゥタはコマンとのマッチアップでも堂々と渡り合い、ほとんどの場面でゴール前への侵入を防いでいました。また、前方に陣取るトゥーレのカバーも怠らず、少なくとも自陣右サイドに関しては堅牢な守備網が築かれたと思います。
長谷部とローデの中盤構成力は見事だった
長谷部とローデが担った中盤の構成力も見事でした。長谷部は的確なポジショニングとシンプルなボールタッチでバイエルンのプレスワークを無効化させつつ、返す刀で敵陣へ効果的な縦パスを打ち込み、攻守両面に渡ってチーム戦術を活性化させていました。
最近の長谷部はボランチでプレーしていますが、彼の能力がミドルエリアで還元されることでアイントラハトはゲームを確実に掌握できるようになっています。現在の長谷部は、リベロでのプレーをそのまま中盤で実践しているかのように見えます。
360度の四方から掛けられるプレッシャーと、攻守を連結させる役回りから間違いなくリベロのときよりも活動量が増しているのに、プレー精度は向上している感さえあります。長谷部が中盤でハイレベルなタスクをこなすことで、リベロのヒンターエッガーは守備に専念し、堅守に貢献している。"長谷部効果"は本当に絶大です。
また、最近のアイントラハトは攻撃の殺傷能力が凄まじいのです。