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トップ下で“主人公”の鎌田大地、中盤で鉄板な長谷部誠…王者バイエルン撃破! フランクフルトに春が来た
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2021/03/01 11:04
王者バイエルンを撃破するなど好調のフランクフルト
テロの犠牲者に捧げるゴールに感じたプライド
ユネスは自身のゴール後に、先述したハーナウでのテロで命を落とされた方の似顔絵と名前が描かれたTシャツをスタッフから受け取り、高らかに掲げました。レバノン人の父親とドイツ人の母親の間に生を受けたユネスはドイツ西部のデュッセルドルフ育ち。彼は母国ドイツで高潔に戦うブンデスリーガーの矜持を示してくれました。
168cm、67kgのアタッカーは、まさに「リトル・ジャイアント」としてバイエルン撃破の担い手となったのです。
後半はバイエルンの猛反撃を受けながらも1失点に抑え2-1で大団円。心地良い気分に浸った僕は試合後、ロックダウン下のフランクフルトの街を再び散策すべく、近隣の公園へ向かいました。
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公園には、アイントラハトのユニホームを着た小さな男の子と女の子が仲良くボールを追いかけていました。その傍らには、優しい微笑みを浮かべる母親。子どもたちが茜色の夕日に照らされて、茶褐色の地面に鮮やかなシルエットが映し出されている。そんな情景を見て、この街が享受する幸福の形を間近に感じ取ることができました。
26日のブレーメン戦にこそ1-2で敗れたものの、アイントラハトは首位バイエルンと勝ち点10差の4位を堅持。チャンピオンズリーグの出場権獲得を視野へ捉え、立春を過ぎたドイツで高らかに進撃を続けています。
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