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【58歳に】高校生の八村塁も憧れた、負けず嫌いの神様ジョーダン…コービーを“挑発”した逸話の本心
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byBUNGEI SHUNJU
posted2021/02/17 17:00
58歳となったマイケル・ジョーダン。八村塁を始め、いまもなお多くのプレーヤーたちの憧れの存在であり続けている
<名言5>
73勝は何の意味もない
(マイケル・ジョーダン/NumberWeb 2020年4月16日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/843190
◇解説◇
24年前の1996年4月16日、シカゴ・ブルズはレギュラーシーズン79試合目の対ミルウォーキー・バックス戦に勝利し、シーズン70勝目をあげた。それまでのNBAレギュラーシーズン最多勝利記録は1971-72シーズンのロサンゼルス・レイカーズがあげた69勝13敗。24年間、どのチームも更新できず、不滅の記録とも言われていた数字を「最強ブルズ」が超えた日だった。
試合前の盛り上がりに反して、ゲーム内容は堅いものとなった。目の前で偉業を達成させたくないバックスの捨て身でディフェンスを前に、ブルズのオフェンス陣がかみ合わず、大苦戦。86対80とロースコアの試合を制しての「70勝目」だった。
「(70勝を達成して)ほっとしたというのが正直な気持ちだ。これがどういう意味をもつのか、本当に理解できるまでには時間がかかると思う。僕らはチャンピオンになるために戦っているわけで、70勝することをあまり重要視したくない。優勝した後に振り返って考えると70勝も大きな意味をもつと思う。でも、今は70勝といっても、シーズン中に達成できたことのひとつにすぎないんだ」(ジョーダン)
この後、72勝10敗でレギュラーシーズンを終えたブルズ選手たちは、プレイオフを前に、“優勝しなければ72勝10敗には何の意味もない”と書かれたTシャツを着用。レギュラーシーズンの記録を喜びすぎないようにと戒める、チーム内のスローガンだった。結局、この年のブルズはプレイオフに入ってからも圧倒的な強さを見せ、危なげなく優勝している。72勝のブルズは、今でもNBA史上最強チーム、あるいは最強チームのひとつと言われている。
記録を塗り替えたウォリアーズ
それから20年後の2016年4月、ゴールデンステイト・ウォリアーズが、ブルズの記録を更新し、73勝9敗でレギュラーシーズンを終えた。しかし、ウォリアーズは73勝をあげた後、NBAファイナルでキャブズに敗れ、優勝を逃している。ウォリアーズのオーナーのジョー・レイコブは、ジョーダンと夕食を共にした際にこう言われたという。
「73勝は何の意味もない」
96年当時の自分たちのスローガンを、ウォリアーズに当てはめただけなのだが、優勝を逃して傷心のレイコブにとっては、傷口に塩を塗られたような気分だったことだろう。負けず嫌いなジョーダンらしいエピソードだ。
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