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【58歳に】高校生の八村塁も憧れた、負けず嫌いの神様ジョーダン…コービーを“挑発”した逸話の本心
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byBUNGEI SHUNJU
posted2021/02/17 17:00
58歳となったマイケル・ジョーダン。八村塁を始め、いまもなお多くのプレーヤーたちの憧れの存在であり続けている
<名言4>
もちろん勝ちたかったけれど、競った試合になったから満足だ
(マイケル・ジョーダン/Number1015号 2020年11月19日)
◇解説◇
2003年2月、マイケル・ジョーダンにとって現役最後となったオールスターゲームでのこと。本気の勝負にこだわるジョーダンにふさわしく、試合はオーバータイムにまでもつれる熱戦となった。
オーバータイム終了間際、同点の場面で東軍のジョーダンが放ったシュートが決まる。ジョーダンが“有終の美”を飾った、と誰もが思ったその直後、残り1秒で西軍のコービー・ブライアントが3Pシュートを打ち、ファウルの笛が鳴った。コービーがフリースロー3本中2本外せばジョーダンの決勝シュートで東軍が勝利という場面。まず1本を決め、続く2本目は外れた。これで1点差。
3本目を前に、コービーは柄にもなく決めるべきかどうか迷っていた。昔から尊敬してきたジョーダンがシュートを決めた後だけに、完璧なエンディングを花道に送り出したい。その一方で、たとえオールスターゲームでも、わざと負けることは選手としての自分の信条にも反する。
「身体が二つに引き裂かれるような思いだったんだ」
そんなコービーの気持ちを察してか、ジョーダンは横からいつものようなトラッシュトークで煽ってきた。それを、「いつものように全力でプレーしてほしい」というメッセージだと受け止めたコービーは、最後のフリースローを決め、再オーバータイムにもちこんだ。結局、試合は西軍の勝利。ジョーダンは、コービーが最後まで手加減せずに戦ったことを喜んだ。