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【58歳に】高校生の八村塁も憧れた、負けず嫌いの神様ジョーダン…コービーを“挑発”した逸話の本心
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byBUNGEI SHUNJU
posted2021/02/17 17:00
58歳となったマイケル・ジョーダン。八村塁を始め、いまもなお多くのプレーヤーたちの憧れの存在であり続けている
<名言3>
ずっと手を見ていた記憶があります。本当に大きかった
(八村塁/Number1015号 2020年11月19日発売)
◇解説◇
NBAドラフト1巡目9位でワシントン・ウィザーズに指名された八村はその直後に、「ジョーダン ブランド」との契約も発表した。サプライズでかかってきたジョーダン本人からの電話では「ウェルカム・トゥ・ジョーダン・ファミリー」と声をかけられたという。
「最初、ジョーダン ブランドの話があると聞いた時は本当に驚きましたし信じていなかった。でも、その後にポートランドにあるオフィスに呼ばれて、すごくウェルカムされたんです。自分だけの特別な部屋を作ってくれていて、そこにジョーダンと僕のパネルを組み合わせたものとか、ウエアなども全部僕だけのものを用意してあって、靴も大量に並んでいて。すごく温かい歓迎を受けました」
父が大ファンだったこともあり、八村にとってもジョーダンはずっと憧れの存在だった。
そんな八村とジョーダンの初めての出会いは2015年まで遡る。明成高校時代に日本人として初めて参加した「ジョーダン ブランド クラシック」でのこと。事前に聞かされていなかったこともあったが、突然のスーパースターの訪問に驚いた。
「試合後に他の選手と一緒に廊下に並んで、僕のすぐ横にあったドアから部屋の中に入ったらそこにジョーダンが座っていて。『前の席から座っていけ』と言われて、僕、ジョーダンの目の前に座ったんです。それでジョーダンが話をして、質問タイムがあって、ジョーダンと握手ができるみたいな」
当時はまだ英語が話せなかった八村は、「何を言っているかはわからなかった」と振り返るが、NBAを牽引してきたジョーダンの大きな手に「世界」を感じ取った。一方のジョーダンも「未来」を予感したのか、皆が握手で終わるところを八村の背中だけパーンと叩いてきたのだという。言葉は通じずとも、高校生だった八村はそれをエールと捉え、励みにしてきた。
時代こそ違えど、今や同じ舞台に立つまでに成長した八村。ジョーダン・ファミリーに迎え入れられた際の「ウェルカム」は、“再会”の意味も込められていたのかもしれない。