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長谷部誠が機能美を加え、鎌田大地が攻撃の軸に…フランクフルト復調、CL出場が夢じゃないワケ
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/02/10 11:00
今やブンデス上位常連となった感のあるフランクフルト。鎌田大地と長谷部誠も貢献中だ
ヒュッター監督はフランクフルトに来るまではずっと4バックで戦っていたが、現在の3バック+2ウイングバックは、チームに合った4バックの変形バージョンとも言える。
マドリーから出戻りのヨビッチも得点力を発揮
選手間の距離が改善され、得意なプレーの噛み合わせが生まれるようになったことで、攻撃陣はそれぞれ解放されたかのようなプレーの連続でチャンスを量産している。
最前線では得点ランク2位のシルバ、そしてR・マドリーからレンタルで出戻ることになったヨビッチが確かな得点力を発揮している。直近のリーグ戦5試合で16得点。効果のほどがうかがえるというものだ。
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鎌田も、そうした変化の恩恵を受けている。
今季、ヒュッター監督から大きな信頼と同時に期待をかけられていた鎌田は、これまで自分で決定的なプレーをしようという意欲が大きくなりすぎていたのかもしれない。
ペナルティーエリア付近でボールを持つと、自分から仕掛けてゴールに直結するプレーを狙う。その意気込みはいい。ただそれが最適な判断を伴うものでないと、チームの攻撃停滞の要因にもなってしまう。チームの攻撃が機能していないなかで、悪循環に歯止めをかけることができないまま進んでしまうシーンが少なくなかった。
ヒュッター監督は辛抱強くスタメン起用し続けていたが、第12節のボルシアMG戦では初めてベンチスタート。そして、翌節は出場機会がなかった。
攻撃の軸として確かな存在感を発揮
ただ、そこで鎌田は自分を見つめ直すことができたのではないだろうか。
振り返れば、昨季もそうだった。試合に出られない時期はくる。その時にどう取り組むのか。やるべきことを整理して、練習からアピールを繰り返す。そして次にチャンスが来たときに納得のパフォーマンスを見せる。監督は、そんな姿をしっかりと見ていてくれる。
第14節のレバークーゼン戦で先発出場した鎌田は、相手オウンゴールを誘発して勝利に貢献。そして現在、再びレギュラーとしてチームの好調を支えている。
パスが出てくる場所、パスを出せる場所が増えて、鎌田自身はとても動きやすそうだ。ユネスやバルコクというパートナーが近くにいることで、パスをいつでも預けられることが大きい。後ろからパスを受けて運んで展開、細かいパス交換でペナルティーエリア内へ侵入、引き出された相手SBの裏スペースへ流れる、ペナルティーエリア内で変化を加えるなどなど、前線で非常に幅広く、クオリティーの高いプレーでチャンスを創出している。
鎌田は、攻撃の軸として確かな存在感を発揮している。