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長谷部誠が機能美を加え、鎌田大地が攻撃の軸に…フランクフルト復調、CL出場が夢じゃないワケ
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/02/10 11:00
今やブンデス上位常連となった感のあるフランクフルト。鎌田大地と長谷部誠も貢献中だ
どう真ん中を使うのか。どう相手を攻略するのか。その答えが見つからなかった。
今季のフランクフルトは得点力を上げるためにアンドレ・シルバとドスト(現クルブ・ブルージュ)の2トップ+トップ下に鎌田大地を基本形にシーズンインした。守備組織を崩さずに守りながら、できるだけ高い位置でボールを奪い、素早く攻撃に転じてゴールを強襲するというスタイルだ。
鎌田へパスが通ってターンしても……
狙いはいい。ただ、思い通りにはいかなかった。前で奪い切れず、守備ラインを下げて対処する頻度が多くなってしまう。そうなると、ボールを奪ってもゴールまで遠い。
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中盤で鎌田へパスが通る。すぐターンをして速やかに前線に運ぼうとするが、前線には複数の相手に激しくマークされたシルバしかいない。
ならば、とピッチの半分をドリブルで運んでも、結局はパスが出せないのでターンしてバックパスか、相手に囲まれてボールを失うシーンが少なくなかった。フランクフルトはサイドアタックが武器といっても、裏を返せば左サイドのコスティッチの単独突破力への依存でしかなく、そこを抑えられたらどうしようもない……。
シーズン序盤は、そうして得点数が増えなかった。
ヒュッター監督がシステム変更を決断したのには、幾つか理由があるだろう。ドストが移籍したから、トップ下を増やしてパス回しを円滑にしたかったから、さらにはゲームの流れを読めるボランチに正確でダイナミックな展開を期待したから。そのあたりが、主な理由ではないだろうか。
ボランチ長谷部がもたらした構築美とともに
いずれにしても現在、3-4-2-1の布陣は選手それぞれの特徴を引き出し、とても高い機能美を発揮している。
ボランチで起用されるようになった長谷部がチームに確かな構築美をもたらし、トップ下では元ドイツ代表ユネス、若手のバルコク、そして鎌田が小気味いい動きの連続で彩りを加えている。両サイドに配されたウイングバックの動きも面白い。左のコスティッチがどんどん前へ出る一方、右のドゥルムはやや守備的で全体のバランスを取っている。