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ガンバに宮本監督の「勝負執着型」は浸透した? 天皇杯決勝の敗北と“得失点差+4でリーグ2位”をどう見るか
posted2021/02/01 11:02
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
AFLO
何か考え込んでいるようだった。元日の天皇杯決勝。川崎フロンターレに敗れて準優勝に終わったガンバ大阪の宮本恒靖監督は表彰式の間、時折あごに手を置いて物思いにふけっていた。
スコアは“ゼロウノ”ながらシュート数は7対27と押されっ放し。フロンターレの強さが際立ったゲームではあった。0-5で大敗してリーグ優勝を決められた1カ月前の戦いからシステムを3-4-2-1に切り替えて5バック気味に対峙した。
「堅いスコアでゲームを進めたいと思い、守備の意識を少し強めて無失点をキープしながら勝負どころで得点を奪うプランでした。先にこちらが(動いて)2トップにしたところでやられてしまったので、ちょっともったいなかったかな、と。もう少し引っ張って(後半)15、20分くらいまでゼロゼロでいければよかったのかもしれません」
腰の引けた戦いだとは思わない。反撃は最終盤まで待たなければならなかったが、選手たちはプランにかなり忠実で“ワンチャン”への意思統一もあった。大味が持ち味だった時代の色は薄まり、勝負執着型への転換が進んでいると認識できた。
1点差勝ちは20試合中16試合
'20年シーズンの宮本ガンバは2位まで順位を引き上げている。得失点差はわずかに+4。フロンターレの+57から大きく引き離され、3位名古屋グランパスをもかなり下回っている。ただ違う見方をすれば勝負強さを表してもいる。1点差勝ちは20試合中16試合にのぼり、リードしても勝ち切れない前年までの悪癖は解消されつつある。
規律を重んじ、ボールを持てなくとも焦れない。選手たちに「魂のこもったプレー」を要求してきた成果でもある。
「('20年は)途中からなかなか勝てなくなった時期にもう少しシンプルにゴールを目指す、相手からボールを奪えなくて運ばれたとしても粘り強く、泥臭くというところを強調して、みんなの頑張りがあって結果にもつながったとは思っています。シーズン前に60得点35失点、得失点差+25の目標を伝えていたので、もちろん満足などはしていませんが」
2度も目の前で優勝を見せつけられた屈辱。クールに見せる指揮官の胸のうちは、かなりホットな感情が渦巻いていたはずである。