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【なぜ就活に強い?】「ラクロス部の学生はいますか」企業が求めるマイノリティー競技の強みと利点とは
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJapan Lacrosse Association
posted2021/01/20 17:02
コロナ禍では通常のリーグ戦を行わず、学生同士の話し合いのもと、各地域で特別大会を実施した(写真は関東2部で優勝した千葉大学)
「いまはビジネスをつくる上で、答えありきではありません。どういうサービスをつくるか、お客さんにとってどういう会社であるべきかを考えないといけない。ビジョンから逆算して目標に落とし込んでいきます。上司から言われたとおりにやるだけでは、新しいものが生まれにくくなっています。その点、ラクロス部の学生は自らビジョンを描いて、新たな道を切り拓いていける人が多いですね」
大学のラクロス部は学生たちが主体となり、練習方法を考え、決して多くない時間のなかで効率良くトレーニングを行っている。部活動の運営も含めて、すべてのハンドルを握っていると言ってもいい。
コロナ禍の状況でも学生たちが中心となり、すばやく対応。日本全国に散る大学ラクロス部の主将がオンラインで集まり、今後について話し合った。昨秋には各地域で特別大会を実施するなど、行動にも移している。
2020年度まで千葉大学のラクロス部でGM兼ヘッドコーチを務め、日本ラクロス協会理事兼最高戦略責任者(CSO)である安西渉氏は次のように説明する。
「大学ラクロスの伝統として、毎年、部の主将と幹部たちが、誰に監督とコーチを頼むのかを決めることが多いんです。もちろん、指導体制を継続する場合もあります。新たに探すときはOB、OGに頼ることもあれば、他大学の人にお願いすることもあります。そこは学生に選択権があります。実際、私自身も千葉大のOBではありませんでしたので」
IT企業からも届く高評価の声
企業に入ったラクロス部出身者たちの評判はいい。入社1年目から結果を残せなくても、2年目、3年目から芽が出てくる。もともと恵まれた環境で活動していないこともあり、適応能力に優れている人が多いのだ。壁にぶつかったときに自らで考えて困難を乗り越えようとする姿勢は、社会でも役に立っている。環境や上司のせいにする人が少ないという。
「企業側は伸びしろのある人材のほうに目を向けています。頑張ってうまくいかなかったときに何ができるかが大事な要素です」
体育会系の需要が少ないと言わるIT系企業からも人気がある。DeNA、サイバーエージェントといったメガベンチャーに進んでいる学生も少なく、ラクロス人材のような開拓者精神を育んだ学生の価値は高まっている。