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【なぜ就活に強い?】「ラクロス部の学生はいますか」企業が求めるマイノリティー競技の強みと利点とは
posted2021/01/20 17:02
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Japan Lacrosse Association
昨今、大学スポーツ界のなかでも頭ひとつ抜けた人気を誇っている競技がある。
ひと昔前から大企業を中心にOBとのつながりが強いラグビー、アメリカンフットボールが根強い支持を集めているというものの、ここ最近はその序列に変化が出てきた。体育会系の就職活動事情に詳しく、若年層のキャリア支援事業などを行う株式会社クリアソンの中村俊一氏は言う。
「人事部の方と話をしていれば、ピンポイントで聞かれます。『ラクロスの学生はいますか』と。他競技と比べても、その数は圧倒的に多いですね」
ラクロスもOB、OGのつながりはあるものの、就職活動において強い決め手となっているかといえばそうではない。企業側から求められるわけは、ほかにあるのだ。
限られた練習場所、転向組の利点
ひとつは朝に強いこと。大学ラクロス部のほとんどは早朝練習がメイン。そこには、新興スポーツならではの事情がある。野球、サッカー、ラグビーのように専用グラウンドはない。多目的運動場はあっても、使用の優先順位は高くない。空いている時間となれば、必然的に早い時間帯になる。
「生活のサイクルができあがっているところが企業には評価されています。9時始業であれば、8時半から準備しているのがラクロス部出身者だと聞きます。コロナ禍でも安定して働いてくれるようです」
ただ朝練習をこなす部活は、ほかにもたくさんある。そのなかでもラクロス部の学生が支持される理由は、自ら決断して、考える力を持っているタイプが多いからだという。その背景には他競技からの転向組が多数を占めていることもある。ラクロスはスポーツ推薦が少なく、大学から始める人がほとんど。企業側は、悩んだ末に新たな競技を選び、一からスタートさせて、4年間部活をやり遂げた学生に大きな魅力を感じている。