酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ロッテがホークス相手に健闘の理由 先発&救援の軽い負担、安田と藤原に続く有望株も【記録で振り返り】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2021/01/19 17:07
昨季25本塁打のマーティンとホークスキラーとして5勝を挙げた美馬学。今季も主力として期待がかかる
千葉ロッテの長年の課題は「貧打」だった。本拠地のZOZOマリンスタジアムは海浜に近く、湿気や風の影響でボールが飛ばない。投手が試合を作っても打ち負けることが多かったのだ。しかしそれは2019年に改善された。
<過去5年間のロッテの本塁打数(本拠地本塁打)とリーグ順位>
2016年 80本(29本)6位
2017年 95本(35本)6位
2018年 78本(37本)6位
2019年 158本(74本)3位
2020年 90本(53本)4位タイ
2019年に本塁打が急増したのは、ファンはご存じだろうがZOZOマリンスタジアムの外野に「ホームランラグーン」という観客席が設けられ、外野フェンスが最大で4m前にせり出したことが大きい。この年に日本ハムから移籍したブランドン・レアードは、32本塁打。ロッテとしては2005年の李承燁以来14年ぶりに30本塁打をクリアした。
しかし2020年はレアードが椎間板ヘルニアで戦線離脱したこともあり、本塁打数は大幅減。最多本塁打はレオネス・マーティンの25本だった。
藤原と並ぶ二軍7本塁打の山口に期待したい
いくら“球場の器”が小さくなって本塁打が出やすくなったからと言っても、長距離打者が打線に並ばない限り、本塁打を量産することはできない。
長く強力打線を維持するためにも、引き続き「自前で長距離打者を作る」ことを課題にしたいところだ。
この3年で63本塁打している井上晴哉は筆頭候補だろうが、3年連続で打率が下落しているのが気がかり。
そこで前述の安田尚憲、さらに2020年の二軍で藤原恭大と並ぶ最多の7本塁打を打った山口航輝に期待したい。山口は明桜高校時代は本格派の投手であり、二刀流も狙っていると言われるが、スケールの大きい選手になる可能性があるだろう。
新外国人のアデイニー・エチェバリアは身体能力の高い遊撃手。マーリンズではイチローのチームメイトでもあったが9年、922試合で37本塁打と、長打は期待できない。やはり自前の打線の育成が急務だろう。
千葉ロッテの大きな取り柄は、チームの雰囲気が明るいことだ。今季は“秘密兵器”佐々木朗希のデビューも期待できる。伸びしろは結構大きいのではないだろうか?