酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ロッテがホークス相手に健闘の理由 先発&救援の軽い負担、安田と藤原に続く有望株も【記録で振り返り】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2021/01/19 17:07
昨季25本塁打のマーティンとホークスキラーとして5勝を挙げた美馬学。今季も主力として期待がかかる
昨年のロッテはシーズン当初から、中心打者を自前で作ることを大きなテーマとしてきた。2019年にヤクルトの村上宗隆がブレークし、19歳の4番打者として売り出したが、ロッテも安田尚憲に期待をかけていた。村上も安田も、2017年のドラフトで清宮幸太郎のはずれ1位として入団している。2018年のアジア・ウインターリーグ・ベースボールでは、村上と安田はイースタン選抜の中軸を打って活躍した。
安田は規定打席に達したものの苦しんだ
その村上が強打者に成長したのだから安田も――ということでロッテは7月21日の西武戦から不振のレアードに代えて安田を4番に据えた。なかなか成績は上がらなかったが、井口資仁監督は、安田を4番に起用し続けた。
しかし安田はついに浮上することがなかった。
2020年の安田尚憲は規定打席に到達したものの、打率.221(25位)6本塁打54打点に終わった。NPBの新人王には「5年以内、60打席以内」という規定があるが、ロッテは2019年までの安田の通算打席を「60」に抑えてまで新人王を取りに行ったが、それは果たせなかった。
コロナ禍で一軍合流の藤原が見せた煌めき
代わって飛び出したのが、安田の1年後輩、2018年ドラフト1位の藤原恭大だった。2018年夏、金足農の吉田輝星(日本ハム)とともに甲子園を沸かせた大阪桐蔭の中心選手の1人だ。
チームとしては「安田の後は藤原」という優先順位だっただろう。今季は二軍スタートだったが、新型コロナ禍で野手が払底したことで一軍に呼ばれ、10月7日に1番左翼で先発。すると2試合目の10月9日のソフトバンク戦で3安打、10月14日の楽天戦と16日の日本ハム戦では先頭打者本塁打を放ったのだ。
出場した26試合のうち23試合で三振するなど荒っぽさもあったが、いかにも切り込み隊長らしい威勢のいい打撃だった。主力陣が帰ってくるとスタメンを外れたが、代役・藤原恭大の元気が沈滞ムードのチームを鼓舞したのは間違いないだろう。
石垣島キャンプで期待の新人をデビューさせる
近年のロッテは、春季キャンプ中の石垣島での台湾チームとの交流試合で、期待の新人をデビューさせるのが恒例になっていた。2019年の藤原も中堅手でデビューしたが、眼光鋭くはつらつとした表情が目立っていた。
フォローするわけではないが、2018年の安田尚憲も石垣島でのデビューから4番に座り、堂々たる貫禄を見せつけた。シーズン通じて一軍でプレーした経験値を得たことで、2021年には大いに期待できるだろう。