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ロッテがホークス相手に健闘の理由 先発&救援の軽い負担、安田と藤原に続く有望株も【記録で振り返り】
posted2021/01/19 17:07
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
2020年の千葉ロッテマリーンズは「敢闘賞」に値するのではないか。新型コロナ禍での奮闘が際立っていた。
<2020年チーム成績>
60勝57敗3分 勝率.513(2位)
打率.235(6位)本塁打90本(4位タイ)435打点(5位)87盗塁(3位)
防御率3.81(2位)34セーブ(2位)78ホールド(6位)110被本塁打(5位タイ)
<ロッテの月間勝敗>
6月 8勝2敗
7月 10勝16敗
8月 16勝8敗2分
9月 15勝11敗
10月 8勝17敗
11月 3勝3敗1分
楽天とともに開幕ダッシュに成功したロッテだが、7月に早くも躓く。しかし8、9月と息を吹き返し、ソフトバンクとデッドヒートを演じる。
しかし10月4日以降に一軍選手12人が新型コロナに感染または濃厚接触者として戦線離脱。ほとんどが野手だったために極端な貧打に苦しんだ。
10月5日からの1週間のチーム打率は.184で、その前の週が.230だから文字通り急落だ。この時期から調子を上げ始めたソフトバンクに太刀打ちできるはずもない。9月28日時点で1位ソフトバンクと2位ロッテの差は1.0だったが、最終のゲーム差は14.0まで開いた。
石川を筆頭に90投球回以上がリーグ最多5人
ただ、それでもロッテは2位に踏みとどまった。楽天や西武などライバル球団がもたついたからではあるが、ロッテにもプラス要因がいくつかあったのだ。
1つは、ロッテは先発陣がしっかりしていたこと。
<主要な先発投手陣>
石川歩 21試7勝6敗133.1回 率4.25
美馬学 19試10勝4敗123回 率3.95
小島和哉 20試7勝8敗113.1回 率3.73
二木康太 15試9勝3敗92.2回 率3.40
岩下大輝 17試7勝7敗90回 率4.20
パ・リーグには90イニング以上投げた先発投手は18人いたが、リーグ最多イニングを投げた石川を筆頭に、ロッテは最多の5人である。
岩下は10月4日に新型コロナ陽性者となったが、MLBからNPBに復帰したチェン・ウエインがローテに加わり、新型コロナ禍で打線が大ダメージを受ける中も、ローテを維持し続けた。
美馬と二木は“ホークスキラー”だった
数字を見てもわかるが、ロッテの先発陣はエースと呼べるようなずば抜けた成績を挙げた投手はいない。防御率は3点台後半から4点台付近、勝ち星も美馬の10勝が最多である。それでも黙々とイニングを消化し、試合を作ることができたのだ。
特に美馬学はソフトバンクに5勝1敗、二木も3勝0敗とめっぽう強かったのが善戦につながった。