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【波乱の大相撲】戦後最多の関取16人休場 “綱取り”貴景勝も連敗スタートで優勝本命は…?
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荒井太郎Taro Arai
photograph byKYODO
posted2021/01/12 17:01
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初場所2日目、大栄翔(右)がはたき込みで貴景勝を破る
先場所は途中から大関以上は自身ただ1人という看板力士としての責務を一身に背負いながら賜盃を手にした。そんな強靭なハートの持ち主にとっても綱取りのプレッシャーは先場所のそれとは別物なのだろうか。前述したように今場所は場所直前に急きょ、全協会員がPCR検査を受けることになった。自身が陽性反応を示す可能性もゼロではなく、場所自体が中止になるかもしれないという未曽有の事態が大関の平常心を微妙に揺さぶっているのだろうか。
翌2日目の大栄翔戦も果敢に押し込もうとするが相手に圧力が伝わらず、両足が揃ったところを叩き込まれた。横綱昇進の内規は「2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」とあるが両横綱が不在のため、先場所に続いて今場所も横綱戦が組まれない貴景勝の場合、たとえ連覇を果たしても高いレベルの結果が求められ、現状は極めて厳しくなった。
朝乃山、正代……優勝争いをリードするのは?
それでも優勝争いという意味ではまだ巻き返せるチャンスは残されている。同じ大関陣の朝乃山、正代はともにカド番。初日は精彩を欠いた朝乃山だったが2日目は力強く前に出ながら右四つの自分の形を作って攻める取り口が戻り、今後に期待を抱かせる相撲ぶりだった。正代は先場所に負った左足首のケガの影響を感じさせない積極的な相撲で連勝発進。優勝戦線は大関陣と関脇照ノ富士あたりを中心に展開されそうだ。
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先場所は優勝決定戦にも進出する13勝をマークした三役復帰2場所目の照ノ富士は初日、若手の琴勝峰を格の違いを見せつけるような力強さで押し倒した。2日目は阿武咲に寄り切られたが体つき、相撲内容からは稽古十分の充実ぶりがうかがえる。今場所も先場所同様の好成績ならばムード次第だが、場所後にも序二段からの大関返り咲きという空前絶後の復活劇が見られるかもしれない。
関脇隆の勝、大栄翔、阿武咲といった一発の破壊力がある押し相撲の実力者たちは素晴らしい内容で好スタートを切った。そろそろブレークを予感させる彼らが優勝争いを面白くしてくれるに違いない。非常に厳しい状況の中、始まった今場所だが、開幕したからには15日間を無事に乗り切ってくれることを願うばかりだ。
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