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【波乱の大相撲】戦後最多の関取16人休場 “綱取り”貴景勝も連敗スタートで優勝本命は…?
posted2021/01/12 17:01
text by
荒井太郎Taro Arai
photograph by
KYODO
昨年大晦日に都内の新型コロナウイルス感染者数が1000人の大台を超えて以降、加速する感染拡大はついに角界の大看板である横綱白鵬にまで及んでしまった。政府は今月7日、首都圏1都3県を対象に緊急事態宣言を発出するに至り、こうした状況に鑑み、日本相撲協会は翌8日、全協会員878名にPCR検査を実施。これにより通常ならば、初日2日前の8日に開かれるはずの取組編成会議は検査結果を踏まえるため、1日ずれ込むことになった。
検査の結果、幕内の千代翔馬ら九重部屋の4力士、友綱部屋の幕下以下力士1名の計5名の陽性が判明。また、濃厚接触の可能性があるとして両部屋の全力士、親方らは1月場所を全休することとなり、白鵬が所属する宮城野部屋、集団感染が発生した荒汐部屋も同様の措置が取られた。これによりコロナ関連の休場力士は65人。関取以上の初日からの休場者は腰椎すべり症による横綱鶴竜を含め16人にも上り、戦後最多となった。
昨年7月場所以降、徹底した感染予防策により本場所では1人の感染者も出すことなくこれまで乗り切ってきた。このコロナ禍において「中止」の決断を下すほうが確かに無難であっただろう。一方、このタイミングで国技大相撲が荒海へ“出航”したことは今後、他のスポーツイベントやエンターテインメント、ひいてはわれわれ国民の日常にマインド面でプラスに波及していく可能性もある。こうした効果はなかなか実感するのが難しいかもしれないが、長い目で見れば本場所を開催した意義はいずれ輪郭を表すのではないだろうか。
貴景勝、連敗スタートで“綱取り”の可能性は?
こうした異例尽くしで幕を開けた1月場所で綱取りに挑む大関貴景勝がよもやの連敗スタートを喫し、いきなり躓いた。初日の御嶽海戦は立ち合いこそ踏み込まれたものの、何度もぶちかましながらの突き放しで攻め込み、相手に引かせる場面もあったが押し切ることができず、最後は自ら相手を呼び込むような引きで墓穴を掘ってしまった。