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<紅白歌合戦>落選した常連組 aiko(14)、AKB(12)、いきものがかり(11)…「なぜ15回出場が難しい?」
text by
近藤正高Masataka Kondo
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2020/12/31 06:04
今年も紅白の総合司会は内村光良が務める(写真は2018年のもの)
2018年は、椎名林檎と宮本浩次によるデュオ、サザンオールスターズの2組が特別企画として出場した。ほかにも企画コーナーでは、刀剣男士、Aqours、さらに北島三郎および彼の弟子の北山たけしと大江裕によるデュオ「北島兄弟」が歌唱している。なお、北島はすでに2013年に紅白を卒業しているので、この年の出演は出場回数にはカウントされていない。
さらに昨年、2019年は特別企画での出場者が一挙に増え、9組が歌唱した。その顔ぶれはジャニーズJr.、おしりたんてい、AI美空ひばり、嵐、中元みずき・ダイアモンド☆ユカイ・中村倫也&木下晴香、YOSHIKI feat. KISS <YOSHIKISS>、ビートたけし、松任谷由実、竹内まりやとバラエティ豊かだった。このうち嵐は白組での出場とは別に東京五輪の関連企画で歌い、NHKの紅白公式サイトでは特別企画の枠でも1組に数えられている。
2015年と2016~19年は放送時間に変わりはないので、紅白での対決が減った分、特別企画にあてる時間が増えたことになる。歌唱だけでなく、2016年には映画『シン・ゴジラ』とのコラボレーションや、タモリとマツコ・デラックスがNHKホールの各所に出没しては寸劇のようなやりとりを繰り広げるといった企画が組まれた。
今年も放送時間は短縮されたものの、GReeeeN、さだまさし、玉置浩二と、昨年に続き松任谷由実、YOSHIKIが特別企画で出場する。YOSHIKIは今年、ロサンゼルスから出演、QUEENのブライアン・メイとロジャー・テイラー、サラ・ブライトマンに紅白の出場歌手らも加わり、日本と欧米をつないでのコラボレーションを行なう。さらにスペシャルゲストで北島三郎も、歌唱はしないがリモートで登場。また、坂本冬美の出番では、彼女が今年歌う「ブッダのように私は死んだ」を提供した桑田佳祐もVTRで出演する予定だ。
「特別枠」は説得しやすい?
特別企画での出場歌手が増えたのには、いくつか理由が考えられる。まず、紅白での対決に消極的な歌手の受け皿としての役割だ。紅組・白組で出演するとなるとたいがいは(中継先からの出演やよっぽどの大物でもないかぎり)自分の出番以外にも、ほかの歌手の応援や、出場歌手全員での企画にも出なくてはならない。しかし、特別出演なら、こうした求めに応じなくて済む。NHK側としても、その年の目玉として出てもらいたいアーティストには、この枠で依頼したほうが説得しやすいところがあるのだろう。
これに加えて、視聴者の求めるものの変化もあるはずだ。近年の傾向として、音楽番組では、性差、また世代やジャンルの違いをも超えた、そのときどきでしか見られない歌手の組み合わせにニーズが高まっている。フジテレビの『FNS歌謡祭』が毎回、異色コラボで話題を呼んでいるのはその一例だ。NHKの音楽番組でも、かつての『歌謡コンサート』が、演歌・歌謡曲だけでなくポップスやミュージカルの歌手まで同じステージに立つ『うたコン』へとリニューアルしたのも、この流れに乗ったものといえる。
紅白歌合戦に対しても多くの視聴者が、紅組と白組の対決とは別に、「その年限り、その場限り」の組み合わせを見たがっている。そんなニーズに応えようとしたのが、ここ数年の紅白の変革なのではないだろうか。事実、紅白の特別出演でも、先にあげたようにコラボレーションが目立つ。2018年には、特別企画(事実上の大トリ)のサザンオールスターズのステージに、先に出演を終えた松任谷由実が飛び入りで参加するというサプライズで、平成最後の紅白を大いに盛り上げた。
今年の出場歌手、20回以上の「7組」とは?
ただ、視聴者は一方で、紅白に毎回お決まりのものを求めていたりもする。石川さゆりが「天城越え」と「津軽海峡・冬景色」を2007年より毎年交互に歌っているのは、まさにそれに応えてだろう。