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三浦龍司、吉居大和……「2022年の箱根駅伝」で見られる? 次世代の大物ルーキー候補たち【高校駅伝】
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2020/12/21 18:30
2時間1分35秒の歴代2位のタイムで5年ぶり10回目の優勝となった
その1)16年ぶりに高校記録を塗り替えた“高速ランナー”
一番の注目は、石田洸介(東農大二3年)だった。
中学生1500m、3000m、5000mの日本記録を持ち、7月ホクレンの5000mで16年ぶりに高校記録を更新。9月東海大記録会では13分34秒74を出して高校記録をさらに塗り替えた。高校2年の時に伸び悩んだ時期もあったが、今年その才能が開花。腰の位置が高く、バネのある走り方が特徴で、それがスピードに活かされた高速ランナーだ。
今大会、1区で6キロ手前までは独走し、強さを見せつけたが、「足が動かなくなった」とスピードが落ちて後続集団に吸収された。「力不足」と本人は悔しさを見せたが、そのポテンシャルの高さは彼の記録が示している。今年の大学中長距離界は、三浦龍司(順天堂大)、吉居大和(中央大)、石原翔太郎(東海大)、佐藤一世(青学大)など、ルーキーの活躍が目立ったが、来年は石田がそうなっても何ら不思議はない。
その2)三浦龍司のような「キレのあるスパート」が武器
1区で区間賞を獲った鶴川正也(九州学院3年)は、前回大会1区3位の悔しさを晴らした。体全体を使ったダイナミックな走りで、先行する石田を追う第2集団を引っ張り続けた。若林(洛南)、尾崎健斗(浜松商業3年)と競り合い、ラストではキレのあるスパートを見せて2人を振り切った。そのスピードは、今年の全日本大学駅伝で見せた三浦龍司(順大1年)のようで、スプリント力がある。
鶴川は、東海大記録会の5000mに出場し、13分45秒28で県高校記録を更新。そのタイムは1区走者で3番目の好記録だが、その実力通りの走りを体現、大学での活躍が非常に楽しみな1人だ。
その3)「人間的に穴がない」強豪屈指の“優等生ランナー”
5位入賞した佐久長聖は、1区の伊藤大志(3年)が区間5位とまずまずの走りを見せた。「調子があまり良くなかった」とのことで狙った走りができなかったようだが、それでも11月の日体大記録会5000mで高校歴代2位となる13分36秒57を出したポテンシャルの高さを見せた。
「人間的に穴がない」と高見澤勝監督が絶賛するほどの優等生。寮の壁に貼った目標シートにも「部員21人全員で戦う」「21人を大切にする」と書いてあり、チーム全体を常に見て、リードするキャプテンシーを持つ選手だ。大学でもいずれキャプテンとなり、チームを牽引するポジションで活躍するだろう。
その4)1年で区間33位から4位の“急成長ランナー”
1区のエース区間では、徳丸寛太(鹿児島実業3年)が13分48秒の持ちタイム通りの走りを見せた。集団の中でも前方に位置し、腕を大きく振る走りで周囲の状況を窺いながら第2グループで伊藤らを抑えて4位で襷を渡した。前回大会は同じ1区を走り、33位に終わって悔しさを噛みしめたが、そのリベンジを果たし、チームに勢いをつけた。