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クラスターが発生したら、世間は僕たちを許さない…東大医学部アメフト部が苦悩の末にたどり着いた一戦
text by
齋藤裕(Number編集部)Yu Saito
photograph byYu Saito
posted2020/12/20 17:01
今年度の主将となった八木。高校まではハンドボール部に所属していた
「6年生を最後、いい形で送り出したい」
9月に入り、同じリーグの医学部チームの不参加が判明。試合ができるかは実際不透明になった。しかし、彼らは目標を優勝ではなく「来年勝つために今年経験を積むこと」に変え、同じリーグのチームでなくても試合をすることにこだわった。
「試合だけはもし可能性があるなら、絶対にやるべきだと考えました。経験のすべては試合で積まれるものだと感じています。だから公式戦が組まれなかったとしても、活動を再開しているチームと練習試合を組む。それは今後のチームにとって必須だと思いました」(前村)
「5年生以下は6年生を最後、いい形で送り出したいという思いがありました。6年生には自分たちのことはいいから正しい選択をしてくれと言われましたけど、やはり試合で終わりたいなと」(八木)
リミットとしていた9月中旬を越えると、試合に向け練習を本格化。11月中旬には今季最初で最後となる試合の対戦相手が発表された。秋以降感染者が増加し、第3波が迫りつつあった。幹部4年生の代では秋以降も話し合いを続け、対策を取りながら練習は続けた。
「一応の基準は作ってきましたが、それが正しかったのかは今も正直わかりません。ここでOK、ここでダメと判断するのは難しく、自分たちで基準を持つ難しさを今季は感じました。判断してくれる人がいれば、もしくは基準を示してくれる人がいれば楽だろうなと感じるときも正直ありました」
そしてたどり着いた、今季最初で最後の試合
迷いながらもたどり着いた13日、試合の日。30名ほどの選手を有し、週5日の練習を行っている東京国際大が有利という見方が多い中、スコーピオンズはなんとか食らいつく。3-13で前半を折り返した。