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スポーツクライミング、出場内定問題が決着…1年以上の法廷闘争の末、残った後味の悪さ

posted2020/12/20 17:02

 
スポーツクライミング、出場内定問題が決着…1年以上の法廷闘争の末、残った後味の悪さ<Number Web> photograph by AFLO

国内大会の決勝で戦うことも多かった野中(左)と伊藤(右)

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 長期間にわたって続いてきた騒動に決着がついた。

 日本山岳・スポーツクライミング協会は国際スポーツクライミング連盟に対し、東京五輪出場基準の解釈変更の取り消しなどを求めてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴していたが、12月12日、棄却されたと発表した。

 その結果、男女代表の2人目は男子が原田海、女子は野中生萌に決定した。

 いったい、どの点での提訴となっていたのか。

 スポーツクライミングは、各国・地域に与えられる出場枠は、男女ともに最大2名。日本はそれぞれ2枠を確保。1人目は昨夏の世界選手権最上位だった楢崎智亜と野口啓代に決定。2人目を、選考対象大会の結果で選出するとしていた。

 ところが国際連盟から、すでに2人目は決定していると通知がなされた。

「駄目ですか私じゃ、というのは正直ありました」

 世界選手権7位以内の選手に出場権が与えられるという基準があり、同選手権で原田は日本勢2番目の4位、野中が野口に次ぐ5位に入っていた。基準に達していることから両者が決定しているとされた。

 それに対して日本協会は抗議した。というのも、日本はもともと開催国枠が1枠ある。それをもとに、2人目は日本の裁量で選べると考え、選考対象大会で決めるとしていた。その点は国際連盟に確認済みであったという。

 その後もらちがあかず、昨年11月、CASに提訴したが、新型コロナウイルスの影響で結論が出るのに時間がかかり、今に至った。

 五輪代表に決まった野中はこうコメントしている。

「ほんとうにストレスでしかありませんでした。駄目ですか私じゃ、というのは正直ありました」

【次ページ】 代表になるチャンスがなくなった選手たち

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