草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
過去10年のプロ野球タイトルを“仮想1リーグ制”で算出してみると…驚愕の「セパ格差」が浮き彫りに
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/12/16 11:05
ソフトバンク・柳田(右)と巨人・菅野。スター選手たちが躍動した2020年はセパ格差が浮き彫りになった年でもある
リアルに1リーグ制になったら格差はさらに?
また、FA移籍選手も予想以上に少ない。セの野手部門では新井貴浩(阪神)の打点王が1度だけ。投手では2012年に杉内俊哉(巨人)が最多奪三振と最高勝率に、2019年に山口俊(同)が最多勝利、最多奪三振、最高勝率の3冠に輝いている。パの野手は今シーズンの浅村までは、内川聖一(ソフトバンク)が2011年に首位打者、12年に最多安打を獲得した例しかなかった。
投手でも2015年の涌井(当時ロッテ)の最多勝利と、18年の岸孝之(楽天)の最優秀防御率の2人のみ。タイトルを獲得することがすべてではないかもしれないが、タイトルの獲得経験者を、超大型の契約で迎え入れる価値が本当にあるのかは、疑問の残るところである。
バーチャル1リーグ。過去10年の日本人選手1位は野手が74%、投手が57%をパ・リーグの選手が占めるという現実。
日本シリーズの岡本や菅野を見ている限りでは、リアルに1リーグになったら、もっと占有率は上がるのではないか。つまりフルタイムで交流戦。パの打者がセの投手を打ち砕き、パの投手がセの打者をねじ伏せる。
連想される四字熟語は弱肉強食であり食物連鎖。アスリートとしての「進化論」では、明らかに生存能力に格差がある。