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神様ジョーダンは今なら炎上? 「八村塁くんは野茂や中田と同じ」スチャダラパーBoseのNBA愛
text by
生島洋介Yosuke Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/11/26 11:02
NBAへの愛が深いスチャダラパーのBose。取材でもその造詣の深さを見せてくれた
楽しむための情報量がぜんぜん違います
90年代末にルール変更があり、技術や戦術が変わり、選手も入れ替わり、とどめを刺すカリーの登場で、NBAのゲームのテンポはすっかり速くなっている。ローポストでの肉弾戦が見どころの1つだった時代とは別モノに見えるのも当然だろう。ただ、ユーイングモデルのスニーカーを履いたBoseさんは、そんなコート上の変化よりもさらに大きく変わった点があるという。
「楽しむための情報量がぜんぜん違いますよね。ほかのスポーツもそうだと思うけど、とくにNBAは選手たちがインスタやツイッターでどんどん発信していて、見え方がすごく多面的。あるシーンの裏側がどうだったとか、移籍のときにはどう考えていたとか、本人や向こうの解説者の話がタイムリーに見られる。普段の服とかクルマとか、なんなら彼女とか、プライベートも見えちゃう。
そういうところまで選手を深く知っていると、スポーツってより楽しめるじゃないですか。
もちろん、試合そのものも、いまは全員のスタッツも見ながら全試合を観られる。少ない情報から勝手に想像するしかなかった昔より、身近に感じられて面白いですよ」
ジョーダンは明らかにSNS時代には……
今年4月、新型コロナ感染拡大でシーズンが止まった時期に公開された『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』は、まさに想像するしかなかった時代の王者を裏側から描いたものだ。これには、日本のオールドファンたち――88年に試合放送を開始したNHK-BSに食いつき、90年には米国外で初の公式戦サンズ対ジャズに歓喜!――もはまったはずだが、BoseさんはSNS時代のいまとの大きなギャップを感じたそうだ。
「例えばレブロンは、SNSで内面を知って見方が変わりました。かつてマイアミに移籍したときはすごく大仰なトレードで、かなりイメージダウンした。でも本人が発信していることを見てゆけば、やっぱりすごく良い人じゃんってよくわかる。逆にジョーダンなんて情報が限られていたから、当時はほぼ"神"でしたよね。だから『ラストダンス』を観て、えっ?? って。もちろんすごさも再確認できたけど、わがままだったり、子供っぽかったり。いまの感覚だと明らかにSNSに向いてない。めちゃくちゃ炎上するタイプでしょ(笑)」
現在の選手たちが発信するのは、バスケや私生活の情報に留まらない。今年はブラックライブズマター運動の高まりもあり、選手が社会に対して強いメッセージを送ることが珍しくなかったという。