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マイケル・ジョーダン×コービー・ブライアント「NBAを制する知性と精神」~レガシーの継承:メンタリティ~
posted2020/11/26 07:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
現役時代2度の3連覇を達成したバスケの神様は、常に全力で勝利を追い求め、一切の妥協を許さなかった。そんな“神”の後継者と呼ばれたスーパースターも、彼に憧れ、手本にし、マンバ・メンタリティを築き上げた。2人の飽くなき向上心と勝利を掴むための信念。彼らのDNAは時代が変わっても生き続けている。
2003年2月、マイケル・ジョーダンにとって現役最後となったオールスターゲームでのこと。本気の勝負にこだわるジョーダンにふさわしく、試合はオーバータイムにまでもつれる熱戦となった。
オーバータイム終了間際、同点の場面で東軍のジョーダンが放ったシュートが決まった。ジョーダンが有終の美を飾った、と誰もが思ったその直後、残り1秒で西軍のコービー・ブライアントが3Pシュートを打ち、ファウルの笛が鳴った。コービーがフリースロー3本中2本外せばジョーダンの決勝シュートで東軍が勝利という場面だ。まず1本を決め、続く2本目は外れた。これで1点差。
3本目を前に、コービーは柄にもなく決めるべきかどうか迷っていた。昔から尊敬してきたジョーダンがシュートを決めた後だけに、完璧なエンディングを花道に送り出したい。その一方で、たとえオールスターゲームでも、わざと負けることは選手としての自分の信条にも反する。
「身体が二つに引き裂かれるような思いだったんだ」
そんなコービーの気持ちを察してか、ジョーダンは横からいつものようなトラッシュトークで煽ってきた。それを、「いつものように全力でプレーしてほしい」というメッセージだと受け止めたコービーは、最後のフリースローを決め、再オーバータイムにもちこんだ。結局、試合は西軍の勝利。ジョーダンは、「もちろん勝ちたかったけれど、競った試合になったから満足だ」と、コービーらが最後まで手加減せずに戦ったことを喜んだ。