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ドラフトウラ話「なぜ西武は外れ1位で投手を獲らなかった?」右の大砲・渡部健人を急浮上させた“ある動画”
posted2020/11/10 17:04
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
今季、学生野球最後の公式戦となる「関東地区大学野球選手権」が、横浜スタジアムで開幕した。
例年なら、「明治神宮大会」の予選となる大会だが、今年はコロナで本戦が中止になったから、4年生にとっては、これが学生野球の「卒業式」となる。
第1試合で共栄大が白鴎大を下し、第2試合では神奈川大が武蔵大に敗れた。第3試合では神奈川大学リーグを制覇した桐蔭横浜大が、千葉県大学リーグ優勝の中央学院大と対戦した。
2回、桐蔭横浜大の攻撃。この回先頭の4番・渡部健人三塁手が、ダグアウトから小走りに打席に向かう。10月26日で、西武からドラフト1位に指名された注目の「右の大砲」だ。
打席で向き合う中央学院大のエース・古田島成龍(3年)だって、アベレージ140キロ前半の速球とカットボール、パワーカーブで来年のドラフト有力候補と目されている剛腕。ドラフト1位・渡部健人にとっても、手強い相手に違いない。
決着は早かった。3球目、渡部健人の最初のひと振りが捉えた古田島成龍の速球は、次の瞬間、もう横浜スタジアムのレフトスタンド上空に舞い上がり、一瞬見えなくなってからスタンド最上段に着弾していた。
まさに、打った瞬間ホームランの“完璧大放物線”。ネット裏から見ていても見事な弾道だったが、あれを一塁側スタンドあたりから見ていたら、どんなに胸の透くような大アーチだったろうか。勿体ないことをした……と思うほどだった。
「10試合8本」でも…スカウトがあんまり見に来てなかった
桐蔭横浜大・渡部健人の評価を、一気に「ドラフト1位」にまで押し上げたのは、この秋のリーグ戦10試合で量産した「8本塁打」が大きかったという。
しかし、それは、リーグ戦の行われた球場だけのパフォーマンスではなかった。
「10試合で8本っていうハイペースもすごかったけど、それ以上にホームランの内容がよかった」
桐蔭横浜大・齊藤博久監督の証言だ。