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「2年連続最下位オリックスがなぜ“高校生”ばかり…」が的外れなワケ ドラフトウラ話【オリ・楽天編】
posted2020/11/11 17:02
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
KYODO
「祭り」が終わった。
毎年、ドラフト直後の数日間は、心身からすべてのパワーが抜け落ちたような脱力状態が続く。
いけない、いけない……と思って、わずかに行われている大学リーグ戦などに出かけてみるのだが、「見る」というより、ただボンヤリしている時間のほうが長いようで、それでもむしろ、そうした心身状態のほうが、見えるもの、気づくこともあったりして、なんとも野球の「奥深さ」をあらためて思い知らされたりしている。
この時期、いつもなら「ドラフト振り返り」として、12球団の指名具合を振り返る文章を書いたりするのだが、今年は私なりの視点から、各球団別に「ドラフト答え合わせ」を行ってみたいと思う。
ドラフトには「指名順」があり、当然のように「1位指名」から注目され、大きな期待がかけられるのだが、それはファン目線での話で、ドラフトの現場としては、それとは別に「キーパーソン」となる選手がいて、それは上位指名の選手とは限らない。
そのようなことにも触れながら、「2020ドラフト答え合わせ」を進めていく。初回は、まず真っ向勝負で、「収穫大」のドラフトになったと思われる2球団を取り上げたい。
【楽天編】オールアマチュアNo.1の「実戦力」
1位指名・早川隆久(投手・早稲田大)の「入札」が4球団で済んだのは、むしろ少なかったぐらいだろう。「早川か?」と思われた日本ハム、広島、DeNA、中日が独自路線の1位指名に切り替えたおかげだ。
いつもなら右手で抽選をする石井一久GMが、
「今年は左腕を引き当てるのだから、左手でしょ」
と、掴んだクジに“選択確定”の印があった。
早川隆久の現時点での「実戦力」は、文句なしにオールアマチュアNo.1だ。アベレージで145キロ前後、ここ一番にはそれが150キロ台にヒートアップし、いつでもストライクのとれる変化球を3種類は用意して実戦に臨む。
狙ったポイントに70%以上の精度で投げ分け、タイミングを外そうとする意欲も旺盛。野球に対しても、真っすぐ過ぎるぐらい、真っすぐだ。
もうちょっと「牽制」に興味を持てば……と思うが、プロに行けば、投手の「エチケット」として、そこはみっちり仕込まれる。春のキャンプを元気に乗り越えれば、来季あたまからローテーションで投げて、10勝ラインも見えてくる。
「上から4人」はどれも朗報
そんな左腕エースの素材と共に、近未来に左右の二枚看板を張れる逸材を「2位」で獲ったのだから、楽天ドラフトのポイントは高い。