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アロザレーナと“動物電気”の強烈さ。映画化も決まった「レイズの大型新人」を知っているか?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2020/11/07 11:01
10月27日のワールドシリーズ第6戦で初回にHRを放ったランディ・アロザレーナ。チームは敗れワールドチャンピオンの座は逃したが、プレーオフ記録を更新する10本目の本塁打となった
あの年は、球史に名高いビル・マゼロスキーの第7戦逆転サヨナラ本塁打でパイレーツが覇権を握ったのだが、3割6分7厘、12打点と奮闘したリチャードソンに賞が与えられた。ただ、今季は勝者ドジャースにコーリー・シーガーやクレイトン・カーショーがいた。シーガー(ワールドシリーズ6試合での打率4割、2本塁打。ポストシーズン全体では8本塁打)も、アロザレーナに劣らぬ活躍で勝利に貢献したのだから、受賞は妥当だろう。
近年出現した選手のなかでは「ピカイチ」
それにしても、アロザレーナの出現と大暴れは今季最大のトピックだったといっても過言ではない。2020年レギュラーシーズンの出場試合数が少なかったため、彼は21年も新人の資格を保持したまま戦線に戻ってくることができる。
もちろん、対戦相手のマークは段違いに厳しくなるにちがいない。弱点を徹底的に攻められて、調子を崩すことがあってもおかしくはない。だが、あの動体視力とバットスピードの速さ、そしてコンタクト能力は、すでに高いレベルに達している。
そしてなによりも、あの精気。動物電気の強烈さは、近年出現した選手のなかではピカイチだ。周囲に転がる多くの罠を切り抜け、走攻守そろった大型選手として成長することを期待したい。