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ハーランドが「僕が15歳の時より凄い」という超新星もいるのに…ドイツ育成が“赤信号”なワケ
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/10/22 11:01
鮮やかなプレーぶりで注目を集めるムココ。今後のビッグネーム候補だ
代表戦をフルメンバーで戦えない事情
昨季のCL決勝トーナメントに出場していたことを受け、バイエルンとRBライプツィヒ所属の主な選手たち、R・マドリーのトニ・クロースは9月の代表戦とトルコとの親善試合で休みをもらったわけだが、過密日程を考慮しながら代表戦を行うのはドイツだけではない。
全試合をフルメンバーでは戦えない事情は他国も同様。むしろ、こうした事態だからこそ、それぞれの国の地力が如実に表われているといえるかもしれない。
2016年に開催された欧州選手権のドイツ代表は、シーズン2位で終えたドルトムントのレギュラー選手でも代表入りできなかった状況を考えると、代表戦が出場機会確保の場になっている現状は、危機感を募らせるに十分な事態だ。
過去にも所属クラブではベンチでも代表ではプレーするという選手はいた。ただし、それに当てはまっていたのはミロスラフ・クローゼやルーカス・ポドルスキなど、代表の主力と言える選手たちだった。
ブンデスでプレーするドイツ人選手が減少?
ところが、今回トルコ戦でスタメン起用された選手のうちブラント、シュルツ(ともにドルトムント)、ルディガー(チェルシー)、ヘンリヒス(RBライプツィヒ)の4人は所属クラブでポジションを掴めていない。それだけでなく、シュルツとヘンリヒスに関してはこの試合後のウクライナ、スイス戦のメンバーから外れている。もし出場機会を与えるという点のみで考えるのなら、代表の底上げに影響を及ぼす若手を招集した方がよかったのではないだろうか。
それならば、次世代の若手有望選手はどこにいるのか。実は、ブンデスリーガにおいてトップレベルでプレーするドイツ人選手の数が減ってきている点が問題視されている。
リーグ9位までに入ったクラブにおいてシーズン20試合以上に出場したドイツ人選手の数を比較してみると、2015-16シーズンでは合計54人だったが、2019-20シーズンには43人となっている。
23歳以下の選手に絞ると、さらに深刻だ。