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ハーランドが「僕が15歳の時より凄い」という超新星もいるのに…ドイツ育成が“赤信号”なワケ
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/10/22 11:01
鮮やかなプレーぶりで注目を集めるムココ。今後のビッグネーム候補だ
リオ五輪の時はほぼレギュラーだったが
2016年のリオ五輪に出場したドイツ代表では、オーバーエイジを除いた15人中13人が所属クラブのレギュラーで、うち11人は1部だ。ちなみにレギュラーを取れていなかった残りの2人は、当時RBライプツィヒのゼルケ(現ブレーメン)とアーセナルのニャブリ(現バイエルン)である。
それが、現在はどうだろう。
10月に行われたU-21代表の試合に招集された23人中、所属クラブでレギュラーを取れている選手は10人。1部所属のレギュラーは4人しかいなかった。
昨シーズンのドイツ、スペイン、イングランド、イタリア1部リーグにおける最終節のU-21選手の出場傾向を調べてみると、さらに厳しい現実を目の当たりにさせられる。
ドイツがスタメン起用5人、出場15人だったのに対し、イングランドはスタメン21人出場34人。スペインはスタメン10人、出場25人。イタリアはスタメン10人、出場31人。大きな差を感じる。
ブンデスリーガ全体で見ると若い選手もたくさん出場しているが、ドイツ人に限ると、その数字はぐっと下がってしまう。
世代別代表監督が「危険な状況」と
U-21ドイツ代表のシュテファン・クンツ監督は、「選手が所属しているリーガのレベルとそれぞれがどれほどプレー機会を得ているかを調べると、考えなければならないことが出てくる。赤信号が灯っている以上に危険な状況だと言わざるを得ない」と警鐘を鳴らす。
ドイツサッカー協会(DFB)で世代別代表チーフを務めるヨティ・シャツィアレクシウも「長年育成年代で働いてきて、すべての世代を知り尽くしているつもりだ。現時点では正直、他のトップネーションにいるような高いクオリティをもった若手は出てきていない」と認めている。
DFBは、そうした現状を打破しようとするプロジェクトを2018年から始めている。
「プロジェクト・ツークンフト」(未来に向けたプロジェクト)