Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER
岩田康誠×岩田望来「嬉し恥ずかし、父子ジョッキー」~大きな背中を超えたくて~
posted2020/10/15 07:00
text by
軍土門隼夫Hayao Gundomon
photograph by
Takashi Shimizu
園田から中央に参戦し、大舞台で勝負強さを発揮してきた岩田康誠。その姿に憧れ、昨年3月デビューした望来は、今年既に50勝に到達。才能の片鱗を見せ、好敵手になった息子を見つめる父の目は、どこまでも穏やかだった。
――親子揃っての取材は初めてですか?
康誠 初めてですね。園田競馬に2人で呼んでもらってトークショーをしたことはありますけど、雑誌では初めてです。
――普段は、2人であらたまって騎乗の話をすることはあるんでしょうか?
康誠 去年はあまりなかったかな。あえて放ったらかしてたところもあったんです。やっぱり技術は人に教わるのではなく、見て盗んで、あとは馬に教えてもらうものと思っているので。自分の若い頃がそうだったから。
望来 僕も去年はデビュー1年目で、とにかく必死にやるだけの状況で。父に何か訊くとか、そんな余裕すらない感じでした。
康誠 でも今年は僕が怪我(4月26日に落馬で負傷、入院とリハビリを経て6月13日に復帰)で休んでいる時期に、病院で望来のレースをじっくり見る時間ができて、電話でそういう話をしていました。まあ、教えるとかアドバイスというよりは、答え合わせみたいな感じですけど。
望来 「この日いちばんうまく乗れたレースはどれやった?」「3着だったけど、なになにです」「おお、わかっとるやん」みたいな感じで、答え合わせの形で自分の騎乗を振り返らせてもらえました。
康誠 コロナ対策でお見舞いも来てもらえない状況だったし、あのやりとりはこっちも楽しかった(笑)。またレースの見方が一致していると、嬉しいんですよね。