濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
史上最年少デビューから15年“子役”から王者へ 女子レスラー・ラム会長のプロレス人生は続く
posted2020/09/15 11:15
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
プロレスラーの“成り立ち”はさまざまである。柔道や空手など他競技を学んだ者、プロレスがやりたくて学生時代にレスリング部だったという選手も多い。角界からの転向組に学生プロレス経験者、女子プロレスでは芸能界からの挑戦。近年は団体主宰の一般向けアマチュアプロレスサークルからプロになるパターンも。
そんな中、暗黒プロレス組織666のラム会長(会長までがリングネーム)は「親に言われて」リングに上がった。それも年齢1ケタの頃だ。いわゆるキッズレスラーのはしり。史上最年少デビューだったという。
「試合に出るとゲーム買ってもらえるから」
「試合に出るとゲーム買ってもらえるから」とプロレス界に足を踏み入れたラム会長。選手や関係者にとっては姪っ子のような存在だった。
「それは可愛がられますよね。というか甘やかされますよね」
当時の自分を、ラム会長は「子役」と表現する。子供がプロレスをやっていること自体が、彼女の価値とほぼイコールだったということだろう。黒髪ロングに白塗りメイクの“ちびっ子”が「お前らしょっぱいな!」と大人のレスラーに毒づく姿は朝の情報番組でも紹介された。
2005年にデビューして、惜しまれつつ引退したのが2009年のこと。しかし2016年、団体を盛り上げようと復帰を果たす。
間に空白期もあるが、ともあれ今年デビュー15周年。666流の表記だと「十五執念」となる。その記念大会は、9月5日に新木場1st RINGで行なわれた。
記念試合のカードはラム会長&山下りな&尾崎妹加vs柊くるみ&宮城もち&藤田あかね。相手は女子団体アイスリボンの選手であり、ラム会長もアイスリボンでのユニットREBEL&ENEMYとしての登場だ。666では異色のカードだった。