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J1勢が目を光らせるJ2の若い才能。
長崎の毎熊から山口の17歳FWまで。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/29 11:40
長崎の毎熊はプロ1年目のコンバート直後から結果を出す類まれなるサッカーセンスを見せつけている。
久保建英世代の大型ストライカー。
久保建英と同じ2001年生まれの選手では、ジェフユナイテッド千葉の櫻川ソロモンが衝撃的なデビューを飾った。ナイジェリア人の父を持つ190センチの大型ストライカーは、プロデビュー戦で初ゴールを記録したのだ。
今シーズンのJ2は連戦が多く、選手を使い分ける監督は多い。千葉の尹晶煥監督もそのひとりで、19歳の櫻川も途中出場を含めて出場機会を与えられている。あとは、どのタイミングで爆発するのかだ。
櫻川よりさらに若いFWもいる。レノファ山口の河野孝汰だ。
7月の長崎戦でJ2の最年少得点記録を打ち立てた17歳は、霜田正浩監督が「しっかりとボールが収まるし、身体の使いかた、シュートセンスもいい」と評価する有望株だ。日本サッカー協会の技術委員長を務めた指揮官のもとで、アカデミー育ちの高校生Jリーガーは研鑽を重ねている。
J3降格がないことも若手起用を後押し?
チームは上位に食い込めていないものの、フレッシュな才能が揃うのは水戸ホーリーホックだ。J1やJ2の他クラブから期限付き移籍してきた選手たちが、出場機会を得て躍動している。
なかでも勢いがあるのは山口一真だ。鹿島アントラーズから期限付き移籍したアタッカーは、チームトップタイの5得点をあげ、4つのアシストも記録している。「下のカテゴリーに来たからには、得点を求められている」と話す24歳は、試合を重ねることでコンタクトプレーに逞しくなり、局面を打開する力が際立つようになってきた。
中2日や中3日での連戦を乗り切るために、さらには選手の疲労を分散する目的から、各チームの監督は「総力戦」を合言葉とする。今シーズンJ3降格がないことも、思い切った選手起用を後押しする。経験や実績を問わずに多くの選手が起用される傾向は、今後も続いていくだろう。
新戦力の補強に動くクラブも少なくない。清水からアルビレックス新潟入りした鄭大世、横浜FCから大宮に完全移籍した元J2得点王イバの移籍がニュースとなったが、若手や中堅の覚悟を込めた移籍もある。2つの自動昇格枠を巡る各チームの戦いぶりとともに、誰がブレイクスルーを果たすのかも興味深いのだ。